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股関節専門 増原クリニック ブログ

運動は薬なり


目新しい話題…ではありませんが
このほど海外誌が
患者様向けに掲載した記事に
興味深いものがありましたので
ご紹介したいと思います。

整形外科領域やスポーツ領域のリハビリテーションを扱うアメリカの専門誌です。


“exercise is medicine. (運動は薬)”
という言葉をご存知でしょうか?

”運動” と ”薬”
相対する物事のように思われるかもしれせんが、 

関節症を患う方々にとって
運動療法は、
痛みを軽くしたり関節の動きを良くするのに
とても有効であることが証明されています。

それだけでなく、運動療法は
循環器の病気やⅡ型糖尿病、認知症など
様々な健康状態にも役立ちます。

股関節や膝関節の関節症にお悩みの方は、痛みにより生活が制限され、
「健康のために」必要な活動量や運動が、足りていない場合もあります。


図が示すように
関節症で活動量が減ると
慢性的な負のサイクルに陥る可能性があります。


運動は薬なり


運動療法と言っても、
難しい体操や特殊なスポーツに取り組む必要はありません。

例えば、ウォーキング・・・
例えばアクアビクス・・・
例えば筋力トレーニング・・・
と、どこかで聞いたモノばかりですよね。


ただし、コツがあるのです。

これから、運動療法の6つのポイントをご紹介します。

① 運動療法は、あなたのニーズや好みにあったあなたらしいものを

② 痛みが強くて運動しづらい場合は、水中での運動がおすすめ

③ 指導された運動療法を、まずは6週間続けてみましょう
   30~60分、週2回から始めましょう

④ さらに筋力アップを目指すなら、週3、4回、3ヵ月以上続けてみましょう

⑤ 自宅で行う運動は、あなたが良くなるために続けるべき

⑥ 痛みが再発することを予防する方法や、痛みが強くなった時の対処方法を知っておきましょう


そして、あなたに合った運動療法は、理学療法士に相談しましょう。

痛みがある状態で、運動をすることは注意が必要です。

良かれと思って行なった運動が、反対に痛みを悪化させることもあります。


股関節の痛みの程度や、痛みの原因により
その人に合った「運動」は異なります。

また、時の経過により状態が変われば、最適な「運動」も変わってきます。


定期的に理学療法士に相談されることをお勧めします。


いかがでしたか?

”薬だと思って...” 
と、よく言いますが

運動も薬だと思って
好きでも嫌いでも
ご自分に合ったものを
きちんと続けましょう!

良薬は口に苦し⁉



■参考文献
Exercise is essential for osteoarthritis. The many benefits of physical activity. J Orthop Sports Phys Ther 2018;48(6):448.
Physical activity and exercise therapy benefit more than just symptoms and impairments in people with hip and knee osteoarthritis. J Orthop Sports Phys Ther 2018;48(6):439-447.

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日本股関節学会in名古屋への参加

股関節学会in名古屋


例年通り、先月末に名古屋で開催されました日本股関節学会学術集会へ参加してきました。
http://www.congre.co.jp/hip45/index.html


増原クリニックからは4名、日頃の研究成果を発表させていただきました。

その内容は、

① 「片側末期変形性股関節症患者の足部形態について-患側と健側の比較」

変形性股関節症が進行し、末期の状態の方は足裏のカタチまで正常ではなくなっているという内容です。
意外と正常より土踏まずが高くなっている人が多いです。
理学療法士の岡村が発表しました。


② 「末期変形性股関節症患者の静止立位における足圧分布」

末期変形性股関節症の方の足裏にかかる圧力を調べました。
一般的に健康な方は踵に最も体重がかかりますが、股関節症では足の指に近い部分に体重が最もかかっている方の割合が多い傾向にありました。
理学療法士の三浦が発表しました。


③ 「人工股関節全置換術後1年が経過した患者の健康関連QOL~HOOSによる同年代健常者との比較~」

QOLとは生活での満足度を表します。
人工股関節の手術を受けられて1年が経過した方々にお願いして、QOLのアンケート調査をしました。
その結果、痛みはほとんどなく健常者と変わりないくらいにまで改善しておられましたが、日常生活での靴下の着脱や階段昇降など動作面ではまだ十分満足できる状態ではない方がおられることが明らかになりました。
理学療法士の生友が発表しました。


④ 「THA術後患者の入院期間中の転倒について―当院における予防対策―」

増原クリニック開院以来10年間の入院中の転倒・転落事故について調査しました。
全米でのデータや米国の有名な整形外科クリニックと比べても転倒・転落事故は少なく、専門的な視点での転倒予防対策が功を奏していると考えます。
看護師の池田が発表しました。


他にも会場を駆け回り、新しい情報を収集して参りました。

ものすごいペースで医療・医学は進歩しております。
我々もその進歩に少しでも貢献できるように研鑽していきたいと思います。

また、学んだことを患者様の治療やケアに役立てるように努力して参ります。


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ホームページをリニューアルしました


2018年11月5日

本日、増原クリニックのホームページをリニューアルしました。

以下のURLになります。
https://www.masuhara-cl.com/

開院10年が経ち、
11年目を迎えた増原クリニックを今後とも宜しくお願い致します。

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股関節と自転車


普段の移動手段は何ですか?

移動手段というと、徒歩、自家用車、電車やバス、タクシーなど色々とありますが、
近所の移動には自転車を使うという方は多いのではないでしょうか。

増原クリニックに受診される患者様から自転車について尋ねられることも多々ありますので、
今回は股関節と自転車について考えてみたいと思います。

股関節と自転車



股関節にかかる負担は?

自転車をこぐ(ペダルを踏む)


自転車は、楽に移動できる乗り物ですが、こぐ際にはよく股関節を動かしているように見えます。
足全体を曲げ伸ばしするので、股関節だけでなく膝や足首も使います。

上り坂などは特に辛くて太ももが張りますよね…(;´д`)

股関節に最も負荷がかかるのは、ペダルが一番上の状態(股関節が一番曲がった状態)から踏みこむ時です。

スポーツタイプの自転車(ロードバイク)のようにかなり前かがみの姿勢になるものや、
乗り降りしやすいようにと座面(サドル)の高さをかなり低くしている場合などでは、
こぐ時に股関節の曲がりが大きくなり、関節の前側(そけい部)が圧迫を受け、痛くなることもありますので注意が必要です。

違和感を感じる方は、サドルの高さや姿勢を見直していただき、それでも痛みがあれば乗るのを控えた方がよいかもしれません。


股関節への負担が最も大きくなるタイミングでサポートしてくれるのが電動アシスト付自転車ですので、
「こぐのが辛い」「坂道が多い」という場合は、そういう自転車を選ぶのも負担軽減の一つ方法になるでしょう。

しかし実際には、街中で自転車に乗るのであれば、それほど股関節への負担は大きくはありません。


細かい理由は以下のことなどが挙げられます。

その1:自転車では歩行のように着地の際の衝撃が股関節に加わらない。
その2:サドルに座るので上半身の重みを股関節で支える必要がない。
その3:普通の自転車(いわゆるママチャリ)では、股関節がそれほど大きく曲がらない。
その4:座っているので歩行のように足が後ろに引き伸ばされることがない。

理由はともかく、実際に乗っている患者様が多いという事実も、負担の軽さを証明しています。

歩く時には股関節が痛くても、「自転車に乗る時は痛くないのでどこへ行くのも自転車です」とおっしゃる方も多いです。
買い物した後の重たい荷物を運ぶのにも便利ですしね…(^ ^)

ですから、自転車をこぐことについては、あまり股関節への負担を気になさらず乗っていただいても結構でしょう。


自転車と股関節




自転車への乗り降り


もう一つ股関節の負担になるのが、乗り降りですね。
自転車に乗る際には、片足を上げ、もう片方で支えます。

乗り降りの方法は人によって様々ですが、変形性股関節症などにより、股関節に痛みや動きの制限を生じてしまうと、
このまたぐという動作が難しくなる場合があります。

「手術をすると自転車に乗れない」と思われている方の中には、乗れなくなるのが嫌で手術を敬遠し、
無理な体勢で何とかして乗り降りされる方もおられるようですが、かえって転倒の恐れがあり危険です。

手術をしても決して乗れなくなるわけではありませんし、むしろ乗りやすくなると思われます。
ですから、そのような状況になる前に受診なさり、手術のことや自転車のことについても相談されることをお勧めします。

また、自転車の形や大きさなども様々ですので、よく検討し、乗り降りや運転が安全にできるものを選ぶようにしましょう。


人工股関節置換術後は自転車に乗ってもよい?

これはよく誤解されているなと感じます。
答えは「乗ってもよい」です。

人工股関節の手術を受けた方でも、以下のような条件を満たしていれば十分乗ることが可能です。

・悪くなる前や手術前まではよく乗っていた
・こぐことができるくらい股関節が曲がる(反対の足も含む)
・乗り降りが安全にできる

先に述べたように、普通の自転車(ママチャリ)に乗ることは股関節への負担は少なく、それは人工股関節であっても同様です。


問題はバランス面です。

手術した足の支えやバランスが十分でない場合、乗り降りや自転車を押すなどの操作中に転倒してしまう恐れがあります。

恐らく「手術後に自転車に乗れない」という言葉は、
 手術した足を大切に → 転んではダメ → 自転車は転びそうだから乗ってはダメ
という感じで広まったのかもしれません。

ですから、リハビリをしっかり行って、乗り降りに不安のない足の状態にしておくことが大切になります。
実際に能力のある人は、自己判断でどんどん乗っておられますが…(^_^;)


股関節バランス練習

増原クリニックでは、
 「手術した方を支えにして片足立ちができるか(姿勢のきれいさは問わない)」
というのを自転車を許可する際の判断材料にすることが多いです。

自転車に乗っている際には、とっさに地面に足をついたり、頻回に乗り降りしますので、ふらつくようでは心配です。

これは手術していない方にも当てはまります。

公道を走る上では、自分だけでなく周りにも注意する必要がありますので、
ある程度身体能力に余裕があるに越したことはありませんよね。

転ばないようにするため、杖や手すりなどの補助により予防することも大切ですが、同時に転ばない能力を身につけることも非常に重要な予防策になるのです。

やはり普段の運動(リハビリ)は大切ですね!


以上のように、股関節を手術している・していないに関わらず、安全に乗り降りさえできれば、
自転車は股関節に悪いものではなさそうです。


もちろん交通ルールを守って事故には十分気をつけてお乗りくださいませ。^ ^

自転車危ない




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人工股関節手術後の身体活動量


活動量


今回は、人工股関節手術後の身体活動量についてお話したいと思います。

身体活動とは、仕事での活動、通勤や買い物など色々な場所への移動、家事や庭仕事、余暇時間の運動やレジャーなどのすべての身体的な活動のことを言います。

国際的な指標として成人に推奨される活動量は、

少なくとも週5日、30分以上の中等度の運動(ウォーキング、フラダンス、太極拳、掃除機での掃除など)を行うこと、

あるいは少なくとも週3日、20分以上の強い運動(ジョギング、水泳、テニス、重いものを運ぶなど)を行うこととされています。


股関節に痛みのある方や人工股関節の手術を受けられた間もない方は、
なかなかこれだけ運動することは難しいと思われます。

皆さまはどのくらい運動など活動的な生活を送られていますでしょうか?


以前、増原クリニックで手術を受けられた方々の手術前から術後6か月までの身体活動量を調査しました。

その結果、手術により股関節の機能や痛みは改善しているものの、
身体活動量については手術前と術後6か月で変わっていないということが明らかになりました。

これは、最近発表された海外の研究でも同じ結果であることを報告しております。


『股関節が良くなったのに活動量は変わらないの?』

普通に考えると、手術によって股関節の痛みが改善しているので、
活動量は自然と増えていきそうな気がします。

でも、なかなか活動量は大きく変わってはいません。

それは1つは生活習慣の影響が考えられます。

生活習慣というものは、お仕事が変わったり、趣味などが変わらない限り、なかなか変わるものではありません。

手術前の股関節の痛いときに、活動量を制限していた生活に慣れており、
手術後に痛みが無くなったあとも、急に活動量が増えることはないようです。

旅行に行ったり、お出かけする範囲が広がることはあると思います。

しかし、習慣的な毎日の活動量はそれほど大きくは変っていないということはありませんか?


手術する前と比べて、歩く量は増えているでしょうか?

何か新しく運動やスポーツを始められましたでしょうか?


手術前後であまり変わっていないなと思われる方は、少し生活習慣を変えて新しいことを始めてみませんか?


いきなり上記の推奨活動量は難しいかもしれませんが、何か続けることができそうなものを選んでチャレンジしてみてください。



参考文献:
Hammett T et al: Changes in physical activity after total hip or knee arthroplasty: A systematic review and meta-analysis of 6 and 12 month outcomes. Arthritis Care Res 2018

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