筋肉痛の原因は?
誰もが経験したことがある「筋肉痛」
ひさしぶりに運動すると2~3日経ってから筋肉に痛みが出てくるあれです。
実は、そのいわゆる「筋肉痛」の原因は未だに分かっておりません。
乳酸説、筋肉損傷説、炎症説、結合組織損傷説、筋痙攣説、筋痛覚過敏説などなど
色んな説が挙がっており、科学的に「原因はこれだ」と説明できる資料が揃っていません。
「歳をとると筋肉痛が遅れて出やすくなる」と言う方は多いですが、
これもまた科学的には証明できておりません。
いわゆる「筋肉痛」の医学的な呼称としては「遅発性筋痛」と言います。
高負荷なトレーニング後すぐに痛みが生じることはなく、
24時間後より徐々に痛みが出現し、
48~72時間後に痛みのピークを迎えるとされています。
筋肉痛発生時には炎症が起こっていることは確認されています。
また筋肉の線維には痛みを感じる神経がありません。
筋肉を包んでいる筋膜には痛みを感じる神経があります。
「肉離れ」というのは、この筋膜が傷んだ状態であり、すぐに痛みが生じます。
痛みを感じない筋肉の線維の微細な損傷により、
それを修復するための炎症症状が後から遅れて2~3日かかりピークを迎えるため、
痛みが遅れて生じるというのが現在の有力な原因説となっています。
その「筋肉痛」の治し方は多数の研究論文があり、有効な方法が明らかになっております。
2018年のフランスのDupuyらの研究報告では、
いわゆる「筋肉痛」に対する様々な治療方法による効果をまとめています。
・自然経過
・ストレッチング
・マッサージ
・マッサージ+ストレッチング
・電気刺激
・圧着
・氷水
・交代浴
・高圧療法
この中から最も有効な方法は、「マッサージ」でした。
マッサージにより炎症も改善が早く、筋肉痛の程度も軽減していました。
マッサージの時間は研究報告により様々ですが、
おおよそ10分程度で良いみたいです。
よくやりそうなストレッチは効果はないか、むしろ逆効果であるという報告もあります。ご注意ください。
自分の手でマッサージしても良いですし、
マッサージの道具を使うのも良いですし、
部位によってはこちらのフォームローラーを使用することもお勧めです。
どこかに眠っている美顔器を使ってマッサージしても良いと思います。
肩こりや腰痛でもマッサージをしてもらうと気持ち良く、痛みが和らぎます。
筋肉痛に対しても「マッサージ」が一番効果的なのですね。
「手当て」という言葉が表す通りかもしれません。
筋肉痛は筋肉の痛みです。
股関節の痛みとは異なります。
なかなか難しいことですが、股関節の痛みと筋肉の痛みを上手に区別ができると治療効果はグンと上がります。
左股関節の軟骨が減ってしまい、「末期の変形性股関節症」と呼ばれる状態になっておられるレントゲン画像です。
このような画像を見てしまうと、悪くなった股関節の部分が痛むと思い込んでしまいます。
もちろん、実際に股関節の部分に痛みが生じている方も大勢おられますが、
それとは反対に、股関節が変形しているにもかかわらず、生活上であまり痛みを感じておられない方も大勢おられます。
よくよくお話を聞いてみると、痛みの場所は股関節ではなくお尻を指さす方が多いです。
股関節の痛みがお尻の部分で感じることはありません。
お尻の痛みは、お尻の筋肉の痛みである場合が多いです。
このお尻の筋肉の痛みは、「いわゆる筋肉痛」と同じように「マッサージ」すると良くなる場合があります。
股関節も痛みはなく、本当の痛みの原因であったお尻の筋肉の痛みも改善して痛みがなくなれば、
すぐに手術することは必要なく、先延ばしすることも可能です。
股関節が痛いのか?
股関節の周りの筋肉が痛いのか?
しっかりと痛みの場所と原因を追究することで、痛みの改善は可能です。
運動したあとの「筋肉痛」は何も治療しなくても普通の生活をしているだけで1週間程度で軽減します。
その「筋肉痛」と「股関節痛」を勘違いして、運動を控えたり、生活での歩く量を控えたりされる方もあります。
なかなか区別することは難しいですが、股関節と上手く付き合っていくためには大切なこととなります。
医師、理学療法士によりアドバイスさせていただきます。
区別がつきにくい方は遠慮なくご質問ください。
参考文献:
Dupuy O, et al. : An Evidence-Based Approach for Choosing Post-exercise Recovery Techniques to Reduce Markers of Muscle Damage, Soreness, Fatigue, and Inflammation: A Systematic Review With Meta-Analysis. Front Physiol. 2018 Apr 26;9:403.
Lewis PB, et al. : Muscle soreness and delayed-onset muscle soreness. Clin Sports Med. 2012 Apr;31(2):255-62.
Guo J, et al. : Massage Alleviates Delayed Onset Muscle Soreness after Strenuous Exercise: A Systematic Review and Meta-Analysis. Front Physiol. 2017 Sep 27;8:747.
Pearcey GE, et al. : Foam rolling for delayed-onset muscle soreness and recovery of dynamic performance measures. J Athl Train. 2015 Jan;50(1):5-13.
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