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股関節専門 増原クリニック ブログ

No pain No gain (ノーペイン ノーゲイン)


スクワット

「No pain No gain」
という言葉をご存知でしょうか?

「ノーペイン ノーゲイン」と読み、
意味は、「苦労なくして利益なし」という海外のことわざです。
何らかの利益を得るためには、苦労が不可欠だというものです。

英語を直訳すると
「痛みなくして得るものなし」
となります。


この言葉をリハビリにあてはめてみると、
確かに地道な苦労なくして良くはならないという面もありますが、
直訳のような「痛みを我慢してまで頑張らないと効果はない」というようなことはありません。

未だに「リハビリ」というと、
「辛い」「大変」「しんどい」というイメージをお持ちの方が多いです。

テレビでよく見るスポーツ選手のリハビリシーンを参考にしたイメージだと思います。

スポーツ選手はパフォーマンスのレベルが高いので、それ相応のリハビリ内容が必要になります。
怪我や手術などで休養した分を取り戻すには大変な努力が必要です。


しかし、普通の日常生活の自立レベルを目指すのであれば、リハビリはスポーツ選手ほどの苦労は必要ありません。

また、痛みに耐えてリハビリをすることもほとんど必要ないです。


「手術も恐いし、その後のリハビリが辛いのも恐い」と仰る方があります。

そのイメージだけで現状では本来最も得策である手術を避けて、股関節の痛みや動かし辛さをトコトン我慢しておられる方がおられます。

そのような方々の誤解を解きたいのが我々の思いです。


まず、手術ですが、
「手術の際の麻酔の注射が痛くて恐い」と仰る方がありますが、
現在ではほとんど痛みを感じないように上手に麻酔を行ないます。
眠っているうちに手術が終わってしまうような感じです。

手術の際にとても痛い思いをしたという方は、増原クリニックでは全くと言って良いほどおられません。


また、手術後においても、
最近は痛み止めの種類もたくさんあり、
その人に合ったものを服用することで、
手術後の傷の痛みも抑えることができます。

もちろん傷があるので全く痛くないということはありませんが、我慢できるくらいに痛みを軽減させます。


増原クリニックでは、
手術のための入院期間を4週間とっています。

そのため焦って無理にリハビリをすることはありません。

手術後の大事な回復の期間を作り、
手術部位に極力負担をかけないように、効率良くリハビリを行ないます。

痛い時期に無理をすることなく、
課題を持ってコツコツとリハビリに取り組むことで、自然と目標に到達するものです。

リハビリを継続する努力は必要ですが、
痛みに耐えたり、辛い思いをするようなリハビリは必要ないと考えます。


医学は進歩し、
できるだけ患者さんの負担を減らし、
効率良く回復していただくように工夫を凝らしております。

「頑張れ❗️頑張れ❗️」
と、根性で治すものではありません。


恐がらずに一度お越しいただいて、話を聞いてみてください。
お待ちしております。


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人工股関節手術後の身体活動量


活動量


今回は、人工股関節手術後の身体活動量についてお話したいと思います。

身体活動とは、仕事での活動、通勤や買い物など色々な場所への移動、家事や庭仕事、余暇時間の運動やレジャーなどのすべての身体的な活動のことを言います。

国際的な指標として成人に推奨される活動量は、

少なくとも週5日、30分以上の中等度の運動(ウォーキング、フラダンス、太極拳、掃除機での掃除など)を行うこと、

あるいは少なくとも週3日、20分以上の強い運動(ジョギング、水泳、テニス、重いものを運ぶなど)を行うこととされています。


股関節に痛みのある方や人工股関節の手術を受けられた間もない方は、
なかなかこれだけ運動することは難しいと思われます。

皆さまはどのくらい運動など活動的な生活を送られていますでしょうか?


以前、増原クリニックで手術を受けられた方々の手術前から術後6か月までの身体活動量を調査しました。

その結果、手術により股関節の機能や痛みは改善しているものの、
身体活動量については手術前と術後6か月で変わっていないということが明らかになりました。

これは、最近発表された海外の研究でも同じ結果であることを報告しております。


『股関節が良くなったのに活動量は変わらないの?』

普通に考えると、手術によって股関節の痛みが改善しているので、
活動量は自然と増えていきそうな気がします。

でも、なかなか活動量は大きく変わってはいません。

それは1つは生活習慣の影響が考えられます。

生活習慣というものは、お仕事が変わったり、趣味などが変わらない限り、なかなか変わるものではありません。

手術前の股関節の痛いときに、活動量を制限していた生活に慣れており、
手術後に痛みが無くなったあとも、急に活動量が増えることはないようです。

旅行に行ったり、お出かけする範囲が広がることはあると思います。

しかし、習慣的な毎日の活動量はそれほど大きくは変っていないということはありませんか?


手術する前と比べて、歩く量は増えているでしょうか?

何か新しく運動やスポーツを始められましたでしょうか?


手術前後であまり変わっていないなと思われる方は、少し生活習慣を変えて新しいことを始めてみませんか?


いきなり上記の推奨活動量は難しいかもしれませんが、何か続けることができそうなものを選んでチャレンジしてみてください。



参考文献:
Hammett T et al: Changes in physical activity after total hip or knee arthroplasty: A systematic review and meta-analysis of 6 and 12 month outcomes. Arthritis Care Res 2018

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宿題していますか?


夏休みの宿題

宿題していますか?


夏休みもあと少し。

夏休みと言えば、楽しいことばかりではなく、

たくさん宿題がありますね。

ドリルに日記、ポスター、習字、自由研究、読書感想文などなど。


宿題に追われている学生さん(ご両親?)が多いかもしれません。


股関節のリハビリにも「宿題」があります。

当院でのリハビリ受けられた方には、必ずと言って良いほど宿題をお出しします。


現状で抱えておられる身体の問題を解決するための「宿題」です。


1度や2度リハビリでの治療や指導を受けただけで、身体の全ての問題が解決することはほとんどありません。

または、股関節の手術を受けても、股関節の周りの筋肉の問題は山積み、未解決のままです。

手術を受けて股関節は治りましたが、脚の筋力や柔軟性、歩き方などはリハビリの宿題をしないと完全に治るということはありません。

確かに宿題をしなくても自然と良くなるということありますが、その改善の度合いは少しだけ。

ご自宅にてコツコツと宿題をしていただくことで、全ての問題を解決することができます。


真面目に宿題をされている方は、本当に改善が早いです。

反対に、宿題をしていない方は、改善が伸び悩み、、、なかなか治りません。


お忙しい生活の中で、宿題を続けることは難しいかもしれませんが、
やるかやらないかで、結果はハッキリと現れます。


ご自分の身体のためを考えて、宿題続けてくださいね。


続けるコツは、日課にしてしまうことです。

毎日、時間を決めて、出された宿題をする。

日常生活の中に、上手く取り入れられておられる人ほど、宿題を続けることができておられます。


あまり1回1回で欲を出さないことも重要かもしれません。

宿題を1回、2回しただけで、すぐに効果は出ません。
そこで諦めてしまうと終わりです。

1か月、またはそれ以上続けないと解決しない問題も多いです。

長い目で見て、コツコツと続けることで、そのうち効果を実感することができるでしょう。



さて、今日の宿題はもう終わりましたか?

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毎日の動きのヒミツ

毎日の生活のなかで
1日に60回も繰り返すことは?
と尋ねられれば
何を思い浮かべるでしょうか?

実は、私たちは
1日に60回あまり、
立ったり座ったりを繰り返しているそうです。
昨日も、そして今日も。

立ち上がり動作は
そのくらい私たちの生活に密着した、
欠かせない動作の一つなのです。


立ち座り



さて、今回ご紹介するのは
その立ち上がり動作についての研究報告です。


手術をして1年を経過した患者様と
手術を経験していない健脚な方々の
立ち上がり動作を比較してみました。

細かく言えば
椅子から立ち上がるときに
“足が地面をける強さ”を
特別な測定装置を使って、比べてみました。

地面をける強さが
左右の足で違うのか?

左右の足が
同時に地面をけるのか?


普段、私たちは
そんなことを意識したり注意したりして
椅子から立ち上がることは
ありませんよね。


調べた結果、
手術をして1年を経過した患者様と
健脚な方々では
“違う!”
ということが明らかになりました。


一体何が違うのでしょう?

まず、地面をける強さが
健脚な方々は
左右の足が同じぐらいの強さで地面をけるのに対して、

手術後の患者様は
手術した側の足のけりが弱いということです。

さらに、一番強く地面をけるタイミングが
健脚な方々は左右ほぼ同時であるのに対して、

手術後の患者様は左右でズレるということです。


整理しますと、
健脚な方々は
椅子から立ち上がる時に
左右の足が、
同じくらいの強さで地面をけり、
同じタイミングで強く地面をけるのです。

つまり、左右対称なイメージです。

それに対して
手術をされた患者様は
1年を経過した段階でも
手術した側の足では地面のけり方が弱く
強く地面をけるタイミングが、左右の足でバラバラなのです。

つまり、左右のバランスが良くないイメージです。


この左右のバランスの違いが
何か身体に不具合をきたすとか、
歩き方に影響するとか、
そのあたりはこの研究では明らかではありません。

しかしながら、
毎日、何度も繰り返す動作のなかで
身体をバランスよく使うことが大切であるというのは
想像に易しいかと思います。

手術を受ける何年も前から、
左右の足を
“良い方” と “悪い方”
“痛い方” と “痛くない方”
などと名付けて生活してきた習慣が
根強く刷り込まれているのかもしれません。

スポーツ選手は
より速く走るために、より遠へボールを投げるために
洗練されたフォームを研究します。

歩いたり、立ち上がったりという日常動作にも
共通する部分があって、
より効率良く動けるフォームを身に付けることが
理想的であると考えます。



この研究報告は
増原クリニックが発表したものです。


人工股関節術後の左右差



■参考文献
N, Miura et al. Asymmetrical loading during sit-to-stand movement in patients 1 year after total hip arthroplasty. Clinical Biomechanics. 2018

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転ばないようにご注意ください


股関節手術後の転倒

人工股関節の手術を受けられた患者さまのうち、約3割の方が転倒されています。


これは増原クリニックでの世界初の調査です。


定期検診でも、リハビリのときにも、このブログでも何度も注意をさせていただいております。

「転倒」

超高齢化社会を迎えた日本での社会的な問題となっております。

ご自宅で生活しておられる65歳以上の高齢者の転倒発生率は1年間で20%程度と言われています。

その転倒された方の中でケガをされるのは30~60%であり、そのうち10%の方が骨折されています。

つまり、100人中20人が転び、そのうち2人が身体のどこかを骨折されている計算になります。


この転倒による骨折は、要介護状態を招きやすく、寝たきりになり死に至る原因となることも多くあります。


恐いお話ですが、日本での2016年の統計では、転倒や転落がもとになって亡くられた方は交通事故死より多く、年間8000人を超えています。

病気以外の死因では第一位です。

ちょっとした油断で転んでしまったことが、あとあと命取りになることもあるわけです。

股関節と転倒


変形性股関節症を患われた方は?

高齢者と同じかそれ以上に転倒の危険性が高いことが我々の調査で明らかになっています。


2018年の7月、整形外科に関する医学雑誌の中で非常に権威のある「Journal of Arthroplasty」にて発表させていただきました。

増原クリニックで人工股関節の手術を受けられた患者さま140名のうち、

手術後1年間で1回以上転倒された経験のある方は、30%(3割)の42名でした。


同年代の平均60歳代の健常者の319名の方々にも同様の転倒に関する調査を実施した結果、
1年間での転倒発生率は13.5%でした。

人工股関節を手術された方の転倒の危険性が如何に高いかが分かります。


さらに手術前の1年間でも31.4%の方が転倒されており、手術前後で転倒される割合は変わっていないことも分かりました。

股関節の手術を受け、もちろん股関節の痛みはなくなり、運動能力も手術前よりは改善されています。


それなのに、なぜ?

と思われる方も少なくはないと思います。


この理由に関しては、未だ明らかではありませんが、
1つは、手術後1年以内では身体能力がまだ十分に回復していないことが考えられます。

股関節の筋力も可動域も歩く能力も、手術前と比較すると良くはなっているのですが、
同年代の健康な方々と比べると、まだまだ負けている方が多いです。

その身体能力の不十分な回復が転倒が多い理由の1つかもしれません。


あともう1つは、意外と股関節を患っていた状態に慣れてしまっていることです。

手術前の変形性股関節症を患っておられた期間が長く、その状態で生活することに慣れてしまっていると、
手術を受けて急に股関節や脚の状態が変わっても着いていけていない(使いこなせていない)ことも考えられます。

今回の調査においても、転倒された方の中の半数の方が、つまずいて転ばれています。

手術により良くはなっているのですが、まだ脚が馴染んでいない中で、行動範囲が広がって、つまずいて転倒してしまう。

そんな方が多いような気がします。


やはり、十分に回復するまでは注意するしかありません。

用心して「ステッキ(杖)」を使用することも転倒予防対策の1つです。



また、転倒予防のためのリハビリの継続も大切です。

注意しなくても転ばない体づくりをしてしまえば問題ありません。


何がまだ足りていないか理学療法士がチェックをします。


痛みがなくなったからOK!

ではなく、その先の転倒予防まで考えてリハビリを続けることが大切だと考えます。


今回の調査には、非常に多くの方々にご協力いただきました。

皆様のおかげで、非常に高名な医学雑誌に論文を掲載することができました。
本当に有難うございました。


一人でも多くの方の転倒予防に繋がれば幸甚に存じます。



参考:Ikutomo H; Incidence and Circumstances of Falls in Women Before and After Total Hip Arthroplasty: A Prospective Cohort Study. J Arthroplasty. 2018 Jul; 33 (7): 2268-2272.


ちなみに以下のURLから論文の全文が期間限定で(2018年7月末まで)ダウンロードが可能です。
ご興味のある方はご一読ください。

宜しくお願い致します。

https://authors.elsevier.com/a/1XDcg38vD2qIoN




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