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股関節専門 増原クリニック ブログ

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変形性股関節症の進行の原因


不安・ショック


「変形性股関節症」と診断されて、

皆さん、その言葉に非常にショックを受けられます。


変形性股関節症について調べると、「進行性の病気」であると記載されてあります。

「進行性」と聞くと、治らない・だんだんと悪くなると思い、

脱出できない穴にはまってしまったかのように、

先が真っ暗に感じる方も多いように思います。



確かに「変形性股関節症」は進行性の病気です。

しかし、その進行の速さは人により異なります。


たった数ヶ月で軟骨が消失し、一気に「末期」と言われる状態にまで急速に進行される方もあれば、

反対に、非常に緩やかに何十年もかけて進行される方もあります。


中には、一旦変形性股関節症と診断されたにもかかわらず、

その後、股関節の変形が進行することなく何年も過ごされている方もあります。



股関節のカタチ上の問題があると、

長い目で見て、将来的に進行しないかどうか不安はありますが、

「前期」や「初期」のような股関節の変形がほとんどない方々は恐がり過ぎることはありません。

また、「進行期」や「末期」のような股関節に変形がすでに見られるような方々も恐がり過ぎることはありません。

進行すればするほど、股関節の痛みが強くなると思われる方がありますが、

それは違います。

股関節の変形と痛さの程度は合致しません。


変形性股関節症の進行の程度は、「股関節の変形の程度」を示しており、

股関節の痛さの程度を示しているわけではないからです。


適切な対処を行えば、例え股関節に変形があっても痛みなく過ごすことも可能です。


「痛み」が生活に支障を招きます。

また、「痛み」が股関節の変形の進行にも関与しています。


痛みの程度(強さ)は変形の程度とは比例しませんが、

股関節に痛みがあるということは、股関節にとって良いことではありません。



変形性股関節症の進行の原因について、少し勉強してみましょう。



変形性股関節症の進行に影響するものは?

股関節の「炎症」と「メカニカルストレス」であるとFelsonらは述べています。



股関節の炎症



炎症とは?

「股関節が痛む」場合、
股関節の中が痛いのは股関節の中の炎症が原因です。
股関節の周りが痛いのは股関節の周りの筋肉などに問題があることが原因です。

何らかの原因で、股関節の中に傷をつけた場合、人間の身体はそれを治そうとします。
その時に、熱を持ち、赤くなり、水分が増えて腫れ、痛みを発します。

これらは「炎症症状」と言い、身体の修復作業を行うために生じるものです。

痛みを発することで、人間は股関節に負担をかけないように過ごしますので、
その間に修復作業を早く済ませてしまおうという計画です。

人間の身体はよくできています。

その修復作業の工事を邪魔するように、痛みを我慢して(あるいは痛み止めを飲んで)動き回っていると、
なかなか傷を治すことができず、股関節の炎症が長引くことになってしまいます。

痛いのはイヤですが、
本来は人間の身体を守ってくれるものでもあるのですね。


少し話はそれましたが、
股関節に炎症が起こると、膝が腫れるのと同じように、股関節も余分な水がたまり腫れます。

その時に、軟骨を溶かしてしまう余計な物質(たんぱく分解酵素)も股関節の中に増えてしまいます。

これが変形性股関節症の進行の原因になるのです。


何とかできないの?と思いますが、

できるだけ早く股関節の炎症を抑えることが予防策となります。

傷を負った場合、通常の炎症状態は1週間から2週間で治ります。

それ以上長引かないようにすることが大切です。

できる範囲で股関節への負担を減らすように安静にすることと、
炎症の程度が強い場合は抗炎症薬を使用し、早めに抑えることも有効です。

人により炎症症状の出方は異なるので、
その方に合った治療方法や対処方法を判断しています。




股関節にかかる負担


メカニカルストレスとは?

メカニカルは「機械的な」という意味で、
ストレスは「負担」という意味です。

機械的な負担、

普段の生活で歩いたり、運動したりするときに股関節にかかる負担のことです。

もう少し詳しく見ていきます。


京都大学の理学療法士の建内先生が非常に興味深い研究を報告されています。

変形性股関節症の進行と股関節にかかる負担の累積量が関係している可能性があるとのこと。

分かりやすく言えば、股関節にかかる負担は、その程度と期間を合わせて考えたほうが良いということです。


具体的に、例も示します。

股関節にかかる負担の程度が強く、長時間その負担がかかり続けば悪化しやすい。
マラソンが趣味だと確かに悪くなりやすそうですね。

股関節にかかる負担の程度が強くても、短時間だけであれば悪化する危険性は低い。
電車に乗り遅れそうだから走るくらいは大丈夫ということ。

股関節にかかる負担の程度が弱ければ、長時間その負担がかかっても悪化する危険性は低い。
デパートに買い物に行って3時間歩いても股関節にかかる負担はあまり大きくないということ。

股関節にかかる負担の程度が弱く、短時間だけであれば全く問題ない。
近所のスーパーの買い物くらいは股関節に負担にはならないということ。


これは痛みが出る出ないは別の話であり、
股関節にかかる負担に焦点を絞って理解してください。


軟骨が減るとか、軟骨の下の骨が変形するというのは、
メカニカルストレス(股関節にかかる負担)の大きさに影響を受け、
それは普段の生活での活動の内容と活動時間を合わせたものによるということです。


ご理解いただけますでしょうか?




股関節が痛い


繰り返しになりますが、股関節の痛みの程度(強さ)と変形の程度は比例しません。

多数の論文で明らかになっています。

変形性股関節症で「末期」と言われる方のほうが痛みは強いとは限らないということです。

例え、変形はほとんど見られなくても股関節の痛みがかなり強い人も大勢おられます。

股関節の痛みの程度と変形の程度は別で考えないといけません。


今回のお話の「変形性股関節症の進行」というのは、レントゲン画像などで確認できる股関節の変形の程度の進行のことを指します。


変形性股関節症の進行を予防していくためには、これらのことを整理して知っておく必要があると考えます。


変形性股関節症を進行させないためには、

「股関節が痛い状態を我慢し続けない」

「股関節にかかる負担をコントロールする」

この2つが大切です。


少し難しいお話だったと思います。

分からなければ、また聞いてくださいね。


また、本当に人により股関節の状態が異なり、対処方法も異なります。

早めにご相談いただくのも、進行の予防には非常に大切なことです。


取り返しがつかなくなる前に。

少しお時間を頂戴できればと思います。



参考文献:
Felson: Osteoarthritis as a disease of mechanics. Osteoarthritis Cartilage . 2013 January ; 21(1): 10–15.

Tateuchi H: Associations of radiographic degeneration and pain with daily cumulative hip loading in patients with secondary hip osteoarthritis. J Orthop Res 34:1977–1983, 2016.

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骨盤のかぶりが浅い?


臼蓋形成不全アップ


「臼蓋形成不全」

現在では、「寛骨臼形成不全」とも呼ばれます。


これは、よく「骨盤のかぶりが浅い」という表現で説明されます。


そう言われても、なかなかイメージができにくいかもしれません。

他の人のレントゲン写真を見たことがないので、比べようがないということもあります。




正常の股関節



この上の画像は正常の股関節のレントゲン写真です。


このように、骨盤と大腿骨が合わさる部分が「股関節」ですが、

その大腿骨の先の丸い頭の部分が骨盤のくぼんだ部分にはまり込んだ形をしています。


骨盤のくぼみが「浅い」か「深い」かで、大腿骨の頭の部分が骨盤のくぼみから出ている面積が変わってきます。


正常の股関節では、大腿骨の頭の部分が骨盤のくぼみにすっぽりと入っていることが分かります。






臼蓋形成不全


次に、「臼蓋形成不全」の方のレントゲン写真です。

骨盤のくぼみが浅く、大腿骨の頭の部分がほとんど出てしまっていることが分かります。

この方は、かなり重度の形成不全です。



臼蓋形成不全にも程度があります。


臼蓋形成不全③

中等度の臼蓋形成不全の方。




臼蓋形成不全②

軽度の臼蓋形成不全の方。


それぞれ違いがお分かりになるでしょうか?



また、なぜ?この臼蓋形成不全が注目されるかと言いますと、

「変形性股関節症」の危険因子の1つとされています。


臼蓋形成不全模式図
(引用:元田英一)

上の図は、よく使われる股関節の模式図です。

丸が大腿骨の頭の部分、四角が骨盤を表しています。


aの図は、骨盤のかぶりが浅い「臼蓋形成不全」の状態。

bの図は、骨盤のかぶりが正常である股関節の状態。


丸の中の矢印は、股関節にかかる体重の力を表しています。

aのほうは、骨盤のかぶりが浅いため体重を受ける面積が狭く、
小さい範囲に負担が集中していることが分かります。

bのほうは、aに比べて体重を受ける面積が広く、
うまく股関節にかかる負担が分散されます。



臼蓋形成不全の接触圧
(引用:Horak)


上の図は、臼蓋形成不全の方の股関節にかかる圧力がどのように分布しているか調べたものです。

大腿骨の頭の部分で、色が緑→黄色→赤→灰色と変わるにつれ、強い圧力がかかっていることを示しています。


つまり、小さい範囲に負担が集中してしまっています。


これを見ると、臼蓋形成不全の股関節は傷めやすいことが分かりますね。




しかし、先ほどの重度の臼蓋形成不全の方は、股関節に全く痛みはありません。

軟骨が減ってきている様子もなく、定期的な検診だけで様子を見ています。

臼蓋形成不全


小さいころに股関節の問題を指摘されたことがあり、

それを覚えておられて、特に生活に支障があるわけでもありませんが、股関節のチェックのために来院されます。


臼蓋形成不全から変形性股関節症が悪化しないためには、

このように定期的に検診を受けられることが非常に大切です。


赤ちゃんのころに乳幼児健診で、股関節の開き具合が良くないと言われたことがある方、

ギプス治療をされておられた方、

骨切りの手術を受けられた方、

臼蓋形成不全でも程度は様々であり、治療方法も異なります。


過去の治療方法が功を奏し、現在は特に症状もなく、生活に何の問題もないという方でも、
股関節の治療経験のある方は、定期的にレントゲンにて股関節の状態を確認されることをお勧めします。

通院していた病院の医師が転勤で変わってしまい、そのまま診察に行かなくなったというお話をよく聞きます。


乳幼児健診で股関節に問題がないと言われた方でも、
股関節に痛みを感じたことがある方、
股関節に違和感がある方も一度受診されることをお勧めします。

乳幼児健診で判別されるのは、重度な臼蓋形成不全の場合です。

その後の股関節の成長具合も分かりませんので、一度確認が必要です。



股関節ほど一人ひとりの骨の形が異なる関節は他にはありません。

本来ならば、学校検診にて股関節の問題がないかチェックを受ける体制を整えるべきとも思います。


早めに股関節の形状の問題が分かれば、変形性股関節症への進行の予防も可能と考えます。

生活上での注意、身体のメンテナンスなど

股関節を温存する秘訣をお教えします。



何か心配がありましたら、いつでもお越しください。




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変形性股関節症の軟骨がなくなる理由


以前、当ブログにて関節の軟骨に関する基礎についてご紹介させて頂きました。



その主な内容は、

・軟骨は線維軟骨、弾性軟骨、硝子軟骨の3種類に分けられる

・関節部分にある軟骨は硝子軟骨であり関節軟骨と呼ばれる

・関節軟骨には神経や血管がないから痛みを感じない

でした。



もう一度、確認したい方はこちらをご覧ください。

「軟骨って何?」

軟骨





そして今回は、

「変形性股関節症では、なぜ軟骨はなくなってしまうのか?」


変形性股関節症の関節軟骨の特徴と、

股関節が変形していく理由について、ご紹介させて頂こうと思います。



関節軟骨の役割は、体重を支える際の骨のクッションの役割です。

硬い骨と骨が当たると、すぐに壊れてしまいますので、

軟らかい軟骨がカバーしてくれています。



しかし、変形性股関節症は、ほとんどの方がこの関節軟骨が弱くなって起こります。


関節軟骨が弱ってしまう原因について、

最近の研究では、以下のようなことが分かってきています。


① 加齢による影響

「加齢とともに筋力が落ちた、体力が落ちた」という話はよく耳にしますが、

関節の軟骨も例外ではありません。



皮膚や筋肉と同様に、関節軟骨も新陳代謝をしているのですが、

その関節軟骨の新陳代謝が加齢とともに衰え始め、

関節軟骨を作り出す能力が低下してしまいます。



また、軟骨はほとんど水分でできているのですが、その軟骨の水分量が加齢とともに低下すると報告されています。


さらに、加齢によって軟骨の強度が低下し、関節に繰り返し力が加わることで弱くなっていくことが明らかになっています。


残念ながら、加齢により少なからず軟骨は弱くなってしまうのですね。

人によってもその影響の大きさは異なるかもしれません。



② 遺伝による影響

関節軟骨が弱ってしまう原因の1つとして、遺伝による影響もあります。

関節軟骨が弱くなりやすい方は、特有のDNAを有していることがわかってきています。


関節が悪くなりやすい家系、血管系が弱い家系、ガンになりやすい家系など、

やはり顔も病気も家系により似てしまうのです。



③ 関節の炎症による影響

関節軟骨はそのほとんどが水分でできており、

残りの一部分がコラーゲンやプロテオグリカンと呼ばれるたんぱく質でできています。


何らかの原因により関節の中で炎症が起きると、

このたんぱく質を分解してしまう酵素が出現し、

たんぱく質の部分が減ることで関節軟骨が弱ってしまいます。


この関節の炎症が続くことで、関節の軟骨が弱ってしまうことが分かっています。

鎮痛剤を使用して、痛みを抑えて働き続けている方は要注意です。


主に、以上のような原因で関節軟骨が弱ってしまいます。


他にも原因はありますが、ここでは割愛させていただきます。




そして、関節軟骨が弱った状態で、関節に過剰な負担(メカニカルストレス)が加わると、関節軟骨が壊れやすい状況になります。


この関節にかかる過剰な負担(メカニカルストレス)とは?


具体的に述べますと、

① 転んで関節に衝撃がかかる

② 姿勢が悪いことで関節に負担がかかりやすい

③ 筋力が弱く関節が不安定である

④ 臼蓋形成不全症など関節の形態上の問題があり負担が大きい

⑤ 筋肉が硬い

⑥  体重が重い

⑦ 激しい運動

などが挙げられます。



関節軟骨が弱っている状態で過剰な負担(メカニカルストレス)が加わると、

関節軟骨の破壊と修復のバランスが崩れ、

関節軟骨の破壊のほうが勝ってしまい、

関節軟骨が破壊されていきます。



正常股関節レントゲン画像

正常であれば、上のレントゲン画像のように、

股関節の白い骨と骨の間に隙間があるように見えます。

この隙間があるように見える部分が、実は関節軟骨です。

実際は、骨と骨の間に隙間はなく、関節の軟骨があります。





末期変形性股関節症レントゲン画像

一方、股関節の関節軟骨が弱り、何らかのメカニカルストレスがかかり続けることで、

関節軟骨が破壊されてしまうと、上のレントゲン画像のように、

骨と骨の間の隙間がなくなり、骨と骨がくっついているように見えます。


これが変形性股関節症です。



多くの方は、関節軟骨が破壊されるに留まらず、

変形の進行とともに骨棘という骨の棘(とげ)が出てきたり、

軟骨の下の股関節の骨の形まで変わってきてしまいます。




このように、関節軟骨が弱ってしまったところに、

過剰な負担(メカニカルストレス)が加わることで、

関節軟骨が破壊され、

股関節の変形へと続いてしまいます。




股関節の変形の原因


「関節軟骨が弱くなること」と「過剰な負担(メカニカルストレス)」が一緒に起こることで股関節は変形してしまいます。

反対に言うと、この2つが一緒にならなければ、股関節は変形しません。



関節軟骨が強く、正常な状態であれば、

いくら関節にかかる負担(メカニカルストレス)が大きくても、

関節軟骨は破壊されません。



関節軟骨が弱くなってきてしまっていても、

関節にかかる負担(メカニカルストレス)が大きくなければ、

関節軟骨は破壊されません。



ここに変形性股関節症の保存療法、リハビリテーションの重要なターゲットがあるわけです。



「関節軟骨が弱らないようにすること」

「関節軟骨にかかる負担(メカニカルストレス)が増えないようにすること」

この2つが重要な目標です。



変形性股関節症は予防できる。

変形性股関節症の進行は防止できる。


そう信じて、日々取り組んでいます。


早期発見、早期治療が1番です。

お早めにご相談ください。




今回のブログの内容をさらに詳しく以下の書籍に記しています。

ご興味のある方は是非ご覧ください。


トータルヒップケア 三輪書店

トータルヒップケア






参考文献
1:福井 尚志 変形性関節症の病態 , 科研製薬株式会社
2:森山 英樹 変形性関節症の生物学 ,  第52回近畿理学療法学術大会誌
3:森山 英樹 変形性膝関節症とメカニカルストレス , 第52回近畿理学療法学術大会誌

引用図
1:増原 建作 股関節 僕に任せて!股関節についてもっと詳しく知りたいと願う方々へ


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変形性股関節症と骨の強さ



皆様、『変形性股関節症』は男性、女性どちらに多い病気かご存知でしょうか・・・?


クエスッチョンマーク



ご存知の方も多かったかと思いますが、正解は・・・女性です。


クリニックに入院されている患者様も女性の方が多いです。

他に女性に多い関節の病気と言われて何か思い浮かぶでしょうか!?



変形性膝関節症やリウマチも女性のほうが多いです。



また、女性に多い骨の病気の1つに『骨粗鬆症』があります。

皆様も新聞、またはテレビなどで1度は聞かれたことがあるかと思います。

『骨粗鬆症』とは、骨密度が減少して骨がもろくなる病気です。


転倒した際に骨折しやすかったり、
骨粗鬆症が酷くなると中には椅子に座る時にお尻を「ドン!!」と着いただけで骨折してしまう方もおられるくらいです。



骨粗鬆症の原因は、基礎疾患の有無により原発性および続発性骨粗鬆症の2つに分類されます。

① 原発性骨粗鬆症:加齢によって引き起こされるタイプ

② 続発性骨粗鬆症:他の病気や薬の影響で二次的に起こるタイプ


骨密度は骨塩量や骨量とも呼ばれ、言葉の通り骨の密度を表しています。

骨に存在するミネラル(カルシウムやマグネシウム)がどの程度あるのかというのを単位面積辺りの骨量により骨の強度を表しています。


骨も新陳代謝していますので、毎日新しい骨に生まれ変わっていきますが、

何らかの原因で骨の吸収と形成のバランスが崩れ、

骨の吸収のほうが強くなってしまうと骨密度が減少し、骨が弱くなってしまうというわけです。



では、「変形性股関節症」と「骨密度」との関係はどうなっているのでしょうか?


股関節局所の骨密度は、大腿骨頚部を含む股関節局所において増加するとの複数の研究報告があります。


また、変形性股関節症の患者さんの全身の骨密度についての大規模調査の結果、

患側(股関節が悪い方)の大腿骨頚部でのみ骨密度が増加し、

反対側の大腿骨頚部や腰椎では骨密度の増加は認められないとの結果が報告されています。



上記にある報告などから変形性股関節症診療ガイドラインでは、

変形性股関節症と骨粗鬆症との関連性はない、とされています。



意外に思われる方もあると思います。

骨が弱くなったから、股関節が悪くなったと思われる方が多いです。


実はそうではなく、変形性股関節症の方々は骨密度が高く、骨が反対に強かったりします。


骨粗鬆症とは、骨の中身が弱くなる病気であり、

変形性股関節症とは、主に関節の軟骨が弱くなって変形してしまう病気です。

関節の軟骨は、骨の表面にあり、骨の中身ではありません。



骨の新陳代謝を考える時、

骨の中身の代謝(骨代謝)と骨の表面にある軟骨の代謝(軟骨代謝)と分けて考える必要があります。


変形性股関節症は後者の軟骨代謝のほうが関係が強いです。

骨代謝ではなく、軟骨の代謝が悪くなってきて股関節が変形してしまう方が多いです。




ちなみに、骨粗鬆症を予防するためには、やはり「運動」です。

骨に刺激を与えることが良いです。


運動習慣および身体活動が骨密度に良い影響を及ぼすこと、

身体活動の活発な人では骨粗鬆症性の骨折が少ないという報告があります。

また、1 日3 回1 分間の片足立ち運動が骨密度の改善と転倒予防効果があったという報告もあります。


『運動不足』や『足に体重をかけない』ことは骨密度を低下させる1つの要因になります。

現在の日常生活より毎日10分でも長く歩くようにする。

エレベーターやエスカレーターを使わずに階段を使うようにする。

30分以上の活発な運動を週2回する。というように運動を習慣化していくことが大切と思います。


今回は簡単ではありますが、『変形性股関節症と骨の強さ』についてお話しさせて頂きました。


増原クリニック リハビリテーション科 理学療法士 岡村 憲一




参考文献:
・標準整形外科学第8版.石井清一 他
・Tatu J. Mäkinen:The incidence of osteopenia and osteoporosis in women with hip osteoarthritis scheduled for cementless total joint replacement.BONE.40. 1041-1047. 2007
・Yoshimura N, Campbell L, Hashimoto T, Kinoshita H, Okayasu T, Wilman C, Coggon D, Croft P, Cooper C. Acetabular dysplasia and hip osteoarthritis in Britain and Japan. Br J Rheumatol. 1998;37(11):1193-7.
・吉村典子,森岡聖次,笠松隆洋,ほか.地域住民の股関節間隙値の性,年齢別分布.日本骨形態計測学会雑誌.1994;4(2):107-12.
・Inoue K, Wicart P, Kawasaki T, Huang J, Ushiyama T, Hukuda S, Courpied J. Prevalence of hip osteoarthritis and acetabular dysplasia in french and japanese adults. Rheumatology (Oxford). 2000;39(7):745-8.
・斎藤 昭,菊地臣一.変形性股関節症の疫学―1,601例の病院受診者に対す る調査.臨床整形外科.2000;35(1):47-51.
・Nevitt MC, Lane NE, Scott JC, Hochberg MC, Pressman AR, Genant HK, Cummings SR. Radiographic osteoarthritis of the hip and bone mineral density. The Study of Osteoporotic Fractures Research Group. Arthritis Rheum. 1995;38(7):907-16.
・Burger H, van Daele PL, Odding E, Valkenburg HA, Hofman A, Grobbee DE, Schütte HE, Birkenhäger JC, Pols HA. Association of radiographically evident osteoarthritis with higher bone mineral density and increased bone loss with age. The Rotterdam Study. Arthritis Rheum. 1996;39(1):81-6.


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股関節のためにやせないといけない本当の理由。


「ダイエットしてください。」


耳が痛い


変形性股関節症と診断されると同時に、医師から体重を減らすことを勧められる方は多いです。

非常に耳の痛い患者さんから嫌がられる言葉ですが、実際に股関節の変形の進行に関与することですので、そう言わざるを得ないのです。

欧米の論文で紹介されている変形性股関節症患者さんの平均体重は、女性でも70~80㎏台もあります。
それに比べると、日本の女性は平均50~60㎏とそれほど体重はありませんが、
近年、食生活の欧米化が進み、欧米の方と同様の体型の方も増えてきております。

要注意です。


よく説明されるのが、「体重が1kg増えると、歩くときには3~4kg分大きく股関節に負担がかかる。」と、言われます。

例えば、体重が50kgの人に比べて、体重が60㎏の人は歩くときには30~40kg分大きく股関節に負担がかかります。


椅子からの立ち座りや階段などでは、もっと大きな負担が股関節にかかってしまいます。
考えただけでも股関節が痛みそうですね。


しかし、体重が70~80㎏あっても股関節の状態に何も問題無ければ、どんどん軟骨が減り、股関節が変形していくということはありません。

ポイントは、「股関節の状態」です。

臼蓋形成不全など股関節の形態上の問題のある方、

スポーツやお仕事などで無理をして股関節に痛みが出やすい方、

股関節の変形がすでにある方、

股関節がすでに痛い方、

など股関節の状態が思わしくない方は、体重による股関節への負担が大きいと、股関節を悪くする可能性があります。


お相撲さんがみんな股関節を痛めるわけではありませんよね?
体重が重くても「股関節の状態」が問題無ければ、股関節は耐えるだけの能力を持っています。




変形性股関節症と体重の増加や肥満との関係性についての論文を調べますと、

実は、体重の増加により股関節にかかる負担が大きくなることと、変形性股関節症の発症との関係性については、まだ明らかにはなっていません。

「体重が増えたから股関節が悪くなった。」とは、本当は医学的には言えないのです。

しかし、肥満と変形性股関節症との関係性については明らかになっています。

少しややこしいですね。混乱させてしまいすいません。

つまり、一時的に体重が増加することと変形性股関節症との関連性は明らかではありませんが、
肥満のような状態が長く続くと、股関節の変形が進行する可能性があるということは事実のようです。

しかも、これも肥満だけが進行の要因ではなく、「股関節の状態」の変化があることが条件として加わると思います。


また、近年注目されているのが、「レプチン」というホルモンです。
変形性関節症とレプチンとの関連性についての報告が増えています。

このレプチンは、脂肪細胞によって作り出され、食欲と代謝の調節を行い、肥満や体重の増加の抑制をする役割を持っています。


しかし、その一方で、このレプチンは関節軟骨の成分であるコラーゲンやプロテオグリカンを分解する蛋白分解酵素を増加させてしまう働きも持っています。

つまり、肥満のように脂肪を多く蓄えている方は、「レプチン」というホルモンが多く作られ、
体重の増加を抑制する一方で、
レプチンが関節軟骨を減らすお手伝いもしてしまうことになります。


肥満のような体重が重いことにより、直接的に股関節にかかる負担が増えることで、
変形性股関節症を悪化させるということも考えられますが、

実は、脂肪から作り出される「レプチン」というホルモンの影響により、変形性股関節症を悪化してしまう可能性もあるということも理解していただきたいと思います。


いずれにせよ、脂肪を減らして、体重を減らすことが大事というわけです。


耳が痛い話ですが、その耳が痛い話をしないといけない本当の理由について解説させていただきました。


さあ、今日から頑張りましょうか?





参考文献:
・Aspden RM, et al: Obesity punches above its weight in osteoarthritis. Nat Rev Rheumatol 7: 65-68, 2011.
・Grotle M, et al: Obesity and osteoarthritis in knee, hip and/or hand: an epidemiological study in the general population with 10 years follow-up: BMC Musculoskelet Disord 9: 132, 2008.
・Marks R, et al: Body mass indices in patients with disabling hip osteoarthritis: Arthritis Res 4: 112-116, 2002.
・Lievense AM, et al: Influence of obesity on the development of osteoarthritis of the hip: a systematic review. Rheumatology 41: 1155-1162, 2002.
・Vingard E, et al: Lifestyle factors and hip arthrosis. A case referent study of body mass index, smoking and hormone therapy in 503 Swedish women. Acta Orthop Scand 68: 216-220, 1997.
・Simopoulou T, et al: Differential expression of leptin and leptin’s receptor isoform (Ob-Rb) mRNA between advanced and minimally affected osteoarthritic cartilage; effect on cartilage metabolism: Osteoarthritis Cartilage 15: 872-883, 2007.
・Iliopoulos D, et al: Epigenetic regulation of leptin affects MMP-13 expression in osteoarthritic chondrocytes: possible molecular target for osteoarthritis therapeutic intervention: Ann Rheum Dis 66: 1616-1621, 2007.
・Presle N, et al: Differential distribution of adipokines between serum and synovial fluid in patients with osteoarthritis. Contribution of joint tissues to their articular production: Osteoarthritis Cartilage 14: 690-695, 2006.
・Dumond H, et al: Evidence for a key role of leptin in osteoarthritis: Arthritis Rheum 48: 3118-3129, 2003.

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