股関節専門 増原クリニック ブログ

靴下が簡単に履ける「更衣ベルト」のご紹介


靴下を履く道具

靴下を履くことに苦労しているという方に朗報です。

簡単に靴下やズボンを履くことができる便利な道具を開発しました。


「更衣ベルト」と呼びます。


簡単に靴下が履ける道具


股関節症を患うと、脚を動かすことができる範囲が狭くなり、

また経過が長くなると足先に手が届かなくなってしまわれる方もあります。


無理をして足を横にひねり、何とか靴下を履いている方も多いです。

足を抱えて履くと股関節が痛むと言われます。


無理な靴下の履き方





また、人工股関節の手術後すぐの時期は、
一時的ではありますが靴下を履くことに苦労します。

リハビリが進めばご自分で履くことができるようになるのですが、
それまでは 「ソックスエイド」という靴下を履く道具をお貸ししておりました。


ソックスエイド2

ソックスエイド4

このソックスエイドも便利なのですが、
くるぶしソックスのような短いタイプの靴下は履くことが難しいという難点があります。


靴下を履くことは毎日のことであり、その度にストレスを感じることは忍びないことです。


そこで、何とか簡単に靴下を履くことができる道具を作れないかと看護師さんたちが中心になって考え、

実際に介護用品の作成をされている業者さんと相談して、

「更衣ベルト」を作製いたしました。


股関節専門クリニックである増原クリニックならではの逸品です。


靴下が簡単に履ける更衣ベルト


日本製です。

膝を抱えこなくても、前かがみしなくても、
簡単に靴下が履けるように工夫してあります。

特許も出願中です。



使用方法は簡単です。

① 先のクリップを靴下の入口の部分に挟みます

靴下を簡単に履く


② 靴下の入口に足を入れます

更衣ベルト


③ そのまま更衣ベルトを引っ張って、足先を靴下の奥まで入れます

更衣ベルト


④ 靴下が履けたら更衣ベルトの手元のカネの輪っかを引っ張るとクリップが外れる仕組みです

更衣ベルト


更衣ベルト



1つ更衣ベルトを使用する上で、コツがあります。

靴下の入口の部分にクリップを留める位置です。

クリップの両方を真横より少し下の位置に留めると上手く履けます。

図のように、時計で言うと4時と8時くらいの位置です。


更衣ベルトのコツ


これならどのようなタイプの靴下でも簡単に履けます。

ストッキングでも大丈夫です。

下着やズボンでも履けます。


立ったまま着替えができず困っておられた方。

股関節ではなく、膝が曲がりにくい方でも便利かと思います。

また、脳卒中で片麻痺症状があり、片手で靴下が履きにくいという方。

体力が低下し、足先に手を伸ばすことが恐いという方。

今まで靴下を履くことに困っておられた方は一度お試しください。


増原クリニックでも¥2800(税込)にて販売しております。

お試し希望の方は見本もあります。


ご遠慮なく増原クリニックの受付(06-6358-0200)までお問い合わせください。


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坂道はつらいよ 。゚(゚´Д`゚)゚。


上り坂、つらくないですか?

変形性股関節症などで股関節に痛みや機能の低下があると、坂道を上がるのがつらく感じることがあります。

増原クリニックを受診される患者さんの中でも、そう訴える方は案外多く、
人によっては「階段よりも坂道の方がしんどい」とおっしゃる方もおられます。

「階段は脚に負担がかかりそう。」

「坂道の方がバリアフリーだから負担が軽そう。」
とお思いの方々。

あなどるなかれ。
たかが坂道、されど坂道。

居住環境により住宅の周りが坂ばかりという方も多くおられますので、
今回は坂道(上り坂)がなぜつらいのか、平地や階段とどう違うのかについて考えてみたいと思います。


上り坂は運動⁈

ずいぶんと前ですが、このブログでも階段の話をしました。

興味のある方はどうぞコチラ↓もご覧ください。
 階段の上がり降りとは:http://masuharacl.blog.fc2.com/blog-entry-168.html
 階段の上がり降りの方法:http://masuharacl.blog.fc2.com/blog-entry-169.html

上り坂は階段と同じく、今いる場所から上へと上がっていきます。
したがって、平地を歩くことに比べると、身体を持ち上げていく力が必要になり、
当然脚にも力が入りますし、ふうふう息が上がるように体力も使います。

そこは坂道でも階段でも共通しているところです。

ただ調べてみると、下の表に示すように上り坂を歩くことも結構な運動強度であることがわかります。


運動強度


いかがですか?

ちなみによく見かける車椅子用のスロープの最大勾配が約8%(1/12)ということですから、
1~5%というのは歩くのにはそれほど急な坂ではありません。

傾斜の程度(勾配)や歩く速さでも強度は変わりますが、階段を上るよりも高い運動になる可能性も十分あります。

したがって、脚や体力に問題がある方にとっては、つらい運動になることが容易に想像できます。



傾斜の影響

今度は坂道そのものについて考えてみます。

 “坂道は傾斜している”

実はこれがそもそもの問題です。

ウォーキング

階段


上の図をご覧ください。
平地でも階段でも足がつく部分は基本的に水平になっています。


坂道の負担

それに比べ坂道は足がつく部分が斜めになっています。

そうすると、足で地面をまっすぐ押す(踏ん張る)と、
地面からの反作用で進行方向とはやや反対向きに跳ね返される力(オレンジの矢印)が体にかかってきます。

ですから、坂道を上がる場合には身体を上に押し上げる力だけでなく、
後ろに落ちないよう前に行くための力が余分に必要ということになります。

これが、上り坂がつらくなる原因の一つです。



階段よりも坂道の方が長い

もう一つは、傾斜角度の問題です。

通常の階段と坂道を比べると、同じ高さまで上がるのに傾斜がずいぶんと違うことを経験します。
階段や歩道橋などのスロープなどがその良い例です。

坂道の場合、家の中の階段のように急な斜面では誰も上がれないため、傾斜角度はかなり緩やかに設定されています。

ということは、同じ高さまで上がる時でも、階段に比べ坂道は歩いている距離が増え、時間も余分にかかってしまいます。
もしかしたら、これも坂道がつらいと感じる一つの要因かもしれません。

例えば、ジワジワと長い坂を上がっていくよりも、階段があれば先に上がってしまい、
あとは平地を進むという方法も、つらさを軽減する上では有効な作戦ではないでしょうか。


研究


股関節にかかる負荷は高い⁈

過去の研究によると、階段では上りでも下りでも主に膝の負担が大きくなると報告されています。

そもそも歩行と階段とは身体の使い方が違うと言えるかもしれません。

一方、坂道の場合は、上りは股関節の負担が大きくなり、下りは膝の負担が大きくなるという結果が報告されています。

基本的に坂道の歩き方は、斜面がよっぽど急でない限り、見た目は平地を歩く時と似たような感じになります。

しかし、先ほど述べた坂道の特徴に対応するためには、
股関節の動きや周りの筋肉の働きがより必要となり、負担が大きくなるのだと思います。

また、傾斜に対応するのは足首の仕事でもあります。
足を出す際につま先が引っ掛からないように足首を起こし、
さらに滑らないように踏ん張りながら地面を押し身体を支えていますので、足首周りの筋肉も頑張る必要があります。

このように、見た目は普通に歩くように見えても脚全体が忙しく働いており、
それが持続的に繰り返されるため、印象よりもつらく感じるのかもしれません。


上り坂をどう攻略するか

上り坂は股関節に負担がかかるということがわかってきました。

では、どうしたらよいのでしょうか?

階段のように一歩ずつ揃えて歩くわけにはいきません。
自宅周辺が坂道の方は、避けては通れませんし…。

解決策としては、ありきたりではありますが、杖や手すりなどの補助具を使用することです。
ノルディックポールを山歩きのストックのように使うのも良いかもしれません。
脚の踏ん張りや前に進む力をサポートできれば楽になると思います。

杖をつくほどではないという方は、段の低い階段を上がる要領で、
あえて上半身をやや前傾させて少し重心(身体の中心)を前に持って行くよう意識すると良いかと思います。

少々足首の負担は増えるかもしれませんが、進みやすくなると考えられます。

上りは歩幅が大きくなりやすいため、歩幅は小さくと意識しておいた方が良いでしょう。

また、先ほども述べましたが、階段が楽であれば怖がらずにそちらを利用するのも一つの方法かもしれません。

なかなか良い対策を提案できませんが…(^_^;)
無理のない範囲で実践してみてください。


坂道がしんどいという方はご注意?!

上り坂を歩くのがつらい、しんどいという方。
ふうふう息切れするような場合は、脚の問題ではないかもしれませんが、
股関節が痛い、脚が重いと感じる方は股関節を傷めている可能性もあります。

環境はなかなか変えることができません。
今股関節が痛い方も、痛くない方も、ご自分の身体に無理がかかり過ぎていないか一度考えてみてはいかがでしょうか。


長文になり申し訳ございません。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。


参考文献
1) 国立健康・栄養研究所:改訂版『身体活動のメッツ(METs)表』, 2012
2)Brouwer et al. A Review of the Physical Demands of Stair Negotiation in Healthy Aging and Following Stroke. Phys Med Rehabil Int 2(7), 2015
3)AN Lay et al. The effects of sloped surfaces on locomotion: A kinematic and
kinetic analysis. J Biomech 39(9), 2006

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転倒にご注意を!


股関節と転倒


「転ばないように、くれぐれもご注意してください」

私たちが患者さんによくかける言葉の1つです。


転んだらおしまい、と言うわけではないですが、
転倒した際にケガをされる方が多いので注意を促しております。


今から遡ること7年ほど前。

増原クリニックが開院して2~3年が経ったころです。


股関節の手術による治療を受けられ、退院された患者さんが定期検診でいつも来院されるのですが、

その定期検診とは別に、

「この前、転んでしまって心配で来ました。」

と、急遽来院される患者さんが妙に多いことに気づきました。

大きい病院では予約が取りづらく、急に診察を受けることは難しいかもしれません。

そこは小さい規模のクリニックの良いところ、
少しの不安や心配でも、いつでも診察を受けることができます。

そのおかげで、この「転倒」の多さに気づくことができました。


院長とスタッフの間で意見交換したところ、
確かに転倒される患者さんが多い気がすると共通の認識が確認できました。


そこで、20011年の秋の「股関節教室」にて、
参加されている患者さんに転倒に関するアンケート調査にご協力いただきました。


その結果、予想通りと言いますか、思いの外と言いますか、
転倒を経験された患者さんが多いことが明らかになりました。


人工股関節全置換術後の転倒調査論文

その調査内容については、人工股関節手術後の転倒に関する世界初の論文として海外誌に報告させていただきました。

214名の患者さんのうち、過去1年間に転んだことがある方は77名おられました。

実に30%以上の方が転倒されていました。

またその中で、転倒時にケガされた方は約40%、骨折された方も約5%おられました。

転倒の特徴としては、つまずいて転んでしまった方が多い傾向にありました。


この結果をもとに、我々は転倒予防対策の必要性を確信します。


通常、「人工股関節の手術の目的」は、「股関節の痛みを治すこと」です。

手術前より良くなれば良いという考えで、
大病院ではある程度生活ができるようになれば退院し、
その後、リハビリのフォローもない場合がほとんどです。

しかし、それでは手術後の回復は不十分です。

確かに手術前に比べると、人工股関節の手術を受けただけで、股関節の痛みは改善します。

生活も以前よりしやすくなります。


中には、リハビリをあまりしなくても「きれいに歩ける」ようになる方もおられます。

それとは反対に、手術前の身体機能の低下により、
「手術だけ」では「きれいに歩く」ことができない方も大勢おられます。

そのような方々の願いを叶えるべく、
私たちは患者さんのリハビリの継続を支援してまいりました。


「きれいに歩けるようになること」を手術後のリハビリの目標としていたわけです。


退院後も継続的にリハビリを行うことで、皆さんきれいに歩けるようになられます。

目標を達成され、「良かった、良かった」と、リハビリを卒業します。


しかし、その後しばらくして「転んでしまいました」と、仰る方が多かったのです。


よく考えてみれば、当たり前のことであったかもしれません。

きれいに歩くことは、健康な人にとっては当たり前のことであり、まだそれ以上の余力があります。


人工股関節の手術後に、きれいに歩けるようになったとしても、
まだまだ同年代の健康な人の体力には追い付いてはいないのです。

同年代の健康な人にも同様の転倒に関するアンケートを実施してみました。

その結果は、過去1年間に転倒されたことがある人は約13%でした。

つまり、人工股関節手術後の方は、健康な人に比べて3倍転倒しやすいことになります。


それから、増原クリニックでのリハビリの目標は、
「きれいに歩けるようになる」ことに留まらず、
できるだけ「同年代と同じ体力を取り戻す」ことを目標としています。

患者さんに押し付けることはありません。
転倒の危険性や将来の体力低下などの情報をしっかりと提供した上で、
患者さんを主体としてリハビリに取り組んでいます。


リハビリは目標が大切です。

何を目標とするか?

それにより、リハビリの内容も異なってきます。


さらに、「転倒に関する調査」は、引き続き進めています。

転倒予防のために、転倒の原因を調査中です。


変形性股関節症の転倒原因


1月に公開された論文では、
人工股関節の手術前の患者さんの転倒原因について報告しました。

痛みの程度や脚の長さの左右差、可動域、筋力、歩く速さ、活動量など、

あらゆる面から転倒との関連性を検討した結果、

「歩くときの姿勢のゆがみ」と「足の筋力」が転倒と関係していることが明らかになりました。

つまり、身体を傾けて歩いている方や足の筋力が落ちている方は、転びやすいということです。


これは、手術前の状態での報告ですが、
その後の調査では、手術後の患者さんにおいても同様の原因となっています。


「きれいに歩くこと」

「足の筋力を健康な人と同じくらいまで引き上げること」


この2つが、転倒予防には大切であると考えています。


折角、快適な生活を送れているところ、余計な不安をあおるつもりはないのですが、

ケガをされてからでは遅いので。


手術後数年が経過していても、またトレーニングをすれば筋力は上がります。

よく転ぶという方、

最近、足が弱くなった気がするという方、

転倒予防に励みたいという方、

いつでもご相談ください。


専門の理学療法士がアドバイスさせていただきます。


「私は大丈夫」と、過信せず、


「転倒にはくれぐれもご注意ください」



引用文献:
Ikutomo H et al: Falls in patients after total hip arthroplasty in Japan. J Orthop Sci. 2015 Jul;20(4):663-8.

Ikutomo H et al: Incidence and Risk Factors for Falls in Women With End-Stage Hip Osteoarthritis.J Geriatr Phys Ther. 2018 Jan 18.


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年末年始のお疲れが出ていませんか?


2018年

本年も何卒宜しくお願い申し上げます。


年末年始に長いお休みをいただくクリニックも今週始めより、本年の業務を開始しております。

と言いましても、入院患者さまが一気に埋まるわけではなく、

週ごとに徐々に増え、1月末に全室が埋まる予定になっております。


そのため、まだ空き室もあり、
そこを上手く利用して集中的に保存療法や術後のリハビリに取り組まれる方もおられます。


寒い冬の時期は、「股関節が痛い」と仰る方が増えます。

心配で診察にお越しになられる方も多いです。


一年を通して、不具合が出やすいのが、やはり冬です。

その中でも年末年始は特に多いでしょうか?


今週も外来にて診察やリハビリに来られた方が、
「あまり調子が良くない」と仰られる方が多かったです。


年末の大掃除。

新年を迎えるための準備。

初詣。


普段はしないことをしたり、自然と立っている時間や歩き回る量が増えてしまいます。


その疲れが出てくるのが今の時期。

身体が重いですね。


また、普段の生活リズムを取り戻すまでは、焦らずにゆっくり身体を休めてください。

身体のメンテナンスも重要です。


温泉にゆっくり入るのも良いかもですね。

寒いときは急にバタバタせず、身体が温まるまで準備運動をするのも良いです。



インフルエンザも流行しているようです。

お身体にお気をつけください。


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筋トレしているけど筋肉が増えない?


筋トレしているけど筋肉が増えない?

踏み台昇降運動


努力は嘘をつかない。
それは確かだと思います。

でも、真面目に筋力トレーニングを続けているにも関わらず、
なかなか筋力が上がらないという方がおられます。


トレーニングの方法が悪いわけではありません。

「トレーニングをしている」と偽っているわけでもありません。


なぜだろう?

私も患者さまも不思議に思いました。


そこで、ちょっと食生活についてたずねてみました。

「食べ物の好き嫌いはありますか?」

「あまりお肉は食べません。」

「えっ?」

お魚は食べるけど、お肉はあまり食べない。
牛乳も好きじゃない。
納豆も食べない。

筋肉の源となるタンパク質をお食事の中であまり摂取されておられませんでした。

このことが筋力がなかなか上がらない原因である可能性が高いと考えられます。


たんぱく質



筋肉はタンパク質が身体の中で合成されて新たに作り出されます。

つまり、タンパク質の摂取が十分でないと、
トレーニングをしていても、効率良く筋肉は作られません。

折角、しんどい思いをしていても身にならなかったら悲しいですよね。

恥ずかしながら栄養面についてはノーマークでした。


みなさんもお食事の内容、栄養のことについて配慮されていますでしょうか?


今回、筋肉を増やすための栄養のことについてご紹介したいと思います。


栄養士



近年、検査技術の進歩により身体の中の栄養素の過不足が細かく分かるようになっています。

それにより、栄養学の研究が飛躍的に進歩し、効率良く筋肉をつける方法が確立されてきました。


今年の夏の甲子園の高校野球では、ホームラン数の大会記録が更新されました。
これも球児らが栄養面に気を配るようになり、トレーニング効果がUPしたのが理由の1つであると言われています。

冬の平昌オリンピックでの出場が心配されますフィギュアスケートの羽生結弦選手も栄養士さんの指導により、
食事・栄養摂取を見直し、体力や筋力が改善し、前回のオリンピックでの金メダルへと繋がったとも言われています。


様々なスポーツ種目で記録が更新されている裏には栄養学の進歩があると言っても過言ではないかもしれません。



リハビリ分野でも、近年「リハビリ栄養」という言葉が広まっています。

リハビリに栄養指導をプラスすることで、
リハビリ効果を高めるという取り組みです。

弱った筋肉をリハビリによりトレーニングして、
筋肉をつけるためには食事が大事であるという、よく考えれば当たり前のことなのですが、
これまでリハビリ分野では「栄養」についてあまり注目されてきませんでした。


最近では、多くの学会発表や研究論文の報告が見られます。


今年の10月に東京で開かれました日本股関節学会での発表において、
「人工股関節全置換術後患者の術前栄養状態」と題して、
埼玉医大から研究報告がありました。

それによると、手術前の血液検査において栄養状態を調べると、
約30%の人が正常ではなく、栄養不良であるとのことでした。

変形性股関節症の患者さまは体重増加を気にかけておられ、
食事制限をされている方も多くおられます。

それは良いことではあるのですが、筋肉に大切なタンパク質の摂取まで減らしてしまうと、
筋肉も減ってしまう可能性があります。

なかなか人の食生活は変化しないため、
手術前に栄養不足である方は、手術後も栄養不足な食生活であることが多いと思います。

リハビリの効果が上がらない、筋肉が増えないのはこれが原因かもしれません。


力こぶ



「栄養」について正しい知識を得ることが、
リハビリや筋力トレーニングの効果を高めるためには重要です。


◎ 筋肉を増やすために必要なタンパク質の量

筋肉を増やすためには、「タンパク質」が必要です。

筋力トレーニングの効果を高めるために必要なタンパク質は、

1食につき20~30gが最適とされています。(Moore, 2015)

1度にドカッとたくさん食べても効果は変わらず、
毎食まんべんなくタンパク質を摂取することが推奨されています。


食品中のタンパク質の目安の例を一部挙げますと、

朝ごはん:パン、牛乳、ウインナー、サラダで25g程度

昼ごはん:ごはん、鮭、みそ汁、お浸しで30g程度

夜ごはん:ごはん、豚のしょうが焼き、サラダで20g程度

普通の一般的な食事であれば、最適なタンパク質量は摂取できていることになります。


ごはん1杯:5g、パン1枚:5g、肉類100g:15~20g、魚類1切れ:15g、卵1こ:8g、豆腐半丁:10g、納豆1パック:12g、牛乳1杯:5gなど

詳細な情報は、「栄養成分早見表」や「日本食品標準成分表」をクリック検索してみてください。


好き嫌いがあり、食事の内容が偏っておられる方は要注意です。


食事



◎ タンパク質を摂るのはどのタイミングがベスト?

トレーニングの前が良いか?後が良いか?

答えは、トレーニングの後のほうが良いです。

トレーニング後の1時間以内がタンパク質の摂取のゴールデンタイムと呼ばれています。

しかし、生活リズムの都合上1時間以内は難しいという方も多いと思います。


トレーニングをしてから1時間経過すると、タンパク質を摂取しても意味がないわけではなく、
その効果は減少しながらも持続し、3時間程度で元に戻ります。
(Lemon, 2002、Burd, 2011)

よって、基本は毎食20~30gずつタンパク質を摂取し、その間にトレーニング(リハビリ)をするということで問題ありません。

どうしてもトレーニングから食事までに3時間以上空く場合は、
軽食かもしくはプロテインなどによるタンパク質の摂取を考慮する必要があると思います。



◎ 寝る前のタンパク質摂取がポイント!

寝ている時間は、実はカラダの中のタンパク質は分解されていきます。

しかし、寝る前にタンパク質を摂取することで、
カラダの中のタンパク質の分解を止め、反対に合成に変えることができると言われています。

ここがポイントかもしれません。

偏りのない普通の食事を摂っていれば、食事でのタンパク質摂取は問題ありません。

しかし、さらに筋トレ効果を高めたいという方は、寝る前にタンパク質を摂取しましょう。


「寝る前にまた食べるの?」

それでは太ってしまいそうです。

ここで登場するのが「プロテイン」です。


プロテイン




寝る前のタンパク質は、大量摂取(30~40g)が重要なのです。
(Groen, 2012)

また、タンパク質の種類も「カゼイン」が最適です。
(Trommelen, 2016)


それを食事で摂取することは難しいです。

「トレーニング直後と寝る前にプロテイン」

トレーニング業界では毎年流行語になっています(笑)。


市販のもので構いません。

プロテインは、カゼインだけでなく、ホエイと混ざったものでも良いです。

ホエイとカゼインはそれぞれトレーニング効果において良いところが異なります。


トレーニングの直後や寝る前に、30~40gのプロテインを飲む。

最新の栄養学に基づいたリハビリ効果を高める重要なポイントになると考えます。


プロテインに少し抵抗がある方も多いとは思いますが、
ココアのように粉を溶かして飲むだけです。

一度、お試しください。

ただ、効果はすぐには現れません。

最低3か月くらいはトレーニングと合わせて続けてみてください。



少し長くなってしまいましたが、

今日のポイントは、

① 筋肉を増やすためにはトレーニングと栄養が大事

② 3食ともにタンパク質を20~30gずつ摂取することが大事

③ トレーニング後のタンパク質摂取が大事

④ 寝る前のプロテインが大事



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