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股関節専門 増原クリニック ブログ

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脚の長さが違う?


下半身


「脚の長さが違う気がする」

他の部分の病気ではあまり左右の脚の長さの違いについて感じることは少ないですが、
股関節周りの病気では脚の長さの違いを感じる場合がよくあります。


本来、左右の脚の長さは一緒のはずですが、
股関節の変形や姿勢のゆがみによって脚の長さの違いを感じます。

このブログでも何度かお話ししているように、
脚の長さが違うと膝や足首、腰などへの負担が増え、
股関節以外の新たな障がいにつながる可能性もあります。

そこで、今回は脚の長さが左右で違う理由について、
いくつかご紹介したいと思います。


【脚の長さが左右で違う理由】

1. 骨の発達または形状
2. 股関節の変形による短縮
3. 骨盤の傾き



1. 骨の発達または形状


脚の長さが左右で異なる理由の一つに、生まれながらにして“股関節のカタチの左右差がある”ということが挙げられます。

赤ちゃんのときの骨の発達の段階で成長不全があり、股関節のカタチが正常ではない方があります。

これは股関節のレントゲン画像を撮ってみないと分かりません。

痛みや違和感などが無ければ、ご自分の左右の脚の長さの違いに気づいておられない方もあります。


赤ちゃんのときにギプスや装具をつけていたとご両親から聞いておられる方、
一度脚の長さが左右で同じかチェックしてみてください。

左右の脚の長さが違う場合は、その原因をしっかりと突き止めて早期に対応することが必要です。

安易に靴の中敷などで左右の長さを合わせようとすると、かえって違和感があり、歩きにくくなることもあります。

長い経過の中で慣れてしまっているのですね。

こういう場合は、まずは立ったり歩いたりする際に脚の長さの差をどの部分で埋め合わせているのか、
どの部分に負担がかかっているかを見極め、障がいが起きないようケアをしておくことが大切になります。



2. 股関節の変形による短縮


2つ目は、
変形性股関節症という病気により股関節の軟骨部分の厚みが減り、
その分だけ脚が縮んで短くなることが挙げられます。


股関節の変形による足の長さの違い


実際に、骨盤から足首までの長さを測ると左右で異なることがわかります。

特に、1のような成長不全の骨の形状に加え、重度の変形が生じると、
左右で2〜3cmもの違いになる場合もあります。

この場合、かなり歩きにくくなり、膝や腰などに新たな痛みを作る可能性が高くなりますので、
短いほうの足に中敷や靴底の厚みをたして長さの差を調整する必要があります。


3. 骨盤の傾き


3番目は、
骨盤が左右に傾いていることが原因で脚が長く感じたり、短く感じたりするというものです。

実はこの骨盤の傾きが問題をより複雑にしています。

股関節手術後の足の長さの違い


すでに紹介した1と2は、骨のカタチの問題により実際に脚の長さが短くなっています。

しかし、この骨盤の傾きは骨のカタチの問題ではありません。

何らかの理由により骨盤が真っすぐではなく、傾いてしまっている場合です。

この場合、実際の脚の長さの左右差がなっくても脚の長さが違うように感じます。


その理由としては、左右の股関節の筋肉の柔軟性が異なっている場合が多いです。
股関節の筋肉は骨盤から大腿骨(太ももの骨)につながっています。

例えば、上の図のように右側に骨盤が傾いている場合は、
右側の股関節の筋肉が硬くなっていて、左側の股関節の筋肉は柔らかい状態であることが多いです。

右と左で筋肉が綱引きをするように引っ張り合って、硬いほうの筋肉の右側に骨盤が引っ張られてしまっています。

その左右の筋肉の柔軟性の違いが大きいほど骨盤の傾きは大きくなります。



人工股関節手術後のレントゲン

人工股関節の手術後にも同じような状態が起きます。

上の図は実際の手術後のレントゲン画像です。
骨盤が傾いているのがよく分かりますね。

赤の線で示すように、左右の骨のでっぱりの同じ部分で比べると、
股関節の部分の長さの差はありません。

しかし、これだけ骨盤が傾いていると、手術した側の脚が長く感じます。


「先生が脚の長さをつけ間違えたのでは?」
と、仰られる方もよくあります。

これは手術した側の股関節の筋肉が非常に硬くなっており、骨盤を手術した側に引っ張っているため傾いてしまっています。

直らないことはありません。

リハビリによりしっかり硬い筋肉のストレッチをして、
左右の筋肉の柔軟性が同じになれば骨盤の傾きも直り、脚の長さも同じに感じるようになります。

反対にあまりリハビリせずに、手術後そのままにしていると、
なかなか脚の長さが揃わないということになってしまいます。

変形性股関節症を長年患うことにより、その周りの筋肉が硬くなってしまい、
手術を受けた後も、その一度硬くなった筋肉の柔軟性を取り戻すのには時間がかかり、
リハビリが重要な改善策となるわけです。

手術後何年か経っていても、適切なリハビリを続けることで左右の脚の長さの差を感じることが改善ることも十分にあります。
気軽にご相談ください。


よく聞かれますが、
骨盤の骨自体が左右でずれて、骨盤が傾いていることは滅多とありません。
よって骨盤矯正といってグイグイと押されても基本的には治りません(一時的な効果はあるかもしれませんが、すぐに戻ります)。

腰の問題が影響する場合もあります。
様々な研究により骨盤の傾きによる脚の長さの違いを感じることについて報告されています。


筋肉がかなり硬くなってからでは、改善も大変苦労しますので、
普段から股関節の筋肉や腰の柔らかさを維持しておくことが重要になります。


からだの状態は少しずつ変化していくため、自分では気づきにくいものです。

しかし、腰痛や膝・足首の痛みなど一見関係なさそうな部分の不調で気づくこともあります。


気になることがあれば、遠慮なくおっしゃってください。

早め早めの対応を心がけていきましょう。


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本当に股関節が痛い?


股関節が痛い


「股関節が痛いんです。」
と、多くの方が来院されます。

もちろん股関節専門クリニックなので、
股関節に問題を抱えておられる方が多いのは当たり前です。


よくよくお話を聞きます。

「股関節が痛い」と、仰る方の中に、
よくよくお話を聞いているとお尻の部分を指して股関節が痛いと仰る方がおられます。

ネットや雑誌などで調べられ、
または他院で指摘され、
「私は股関節が悪いから股関節が痛い」と思い込んでおられますが、
実際に「痛い」と仰られている身体の部位は「股関節」ではなく「お尻」です。


確かにレントゲン写真を撮ると、
股関節に問題(変形)があることが分かります。

しかし、股関節に変形があっても、
現在の痛みの原因が股関節の変形にあるとは限りません。

実際に、股関節が大きく変形していても股関節に痛みがほとんどない方もおられます。


「変形性股関節症の変形の程度と痛みの程度は比例しない」と、

海外の研究論文(参考文献①)でも報告されています。


つまり、股関節が変形すればするほど股関節の痛みが強くなるとは限らないということです。


また、このような研究報告(参考文献②)もあります。

「変形性股関節症の方の痛い場所は股関節とは限らない」


股関節だけでなく、他の身体の部位の痛みを訴えておられる方が多勢おられます。


「そもそも股関節ってどこですか?」
ということにもなりますね。

股関節ってどこ?


股関節は骨盤と大腿骨の接合部分です。

骨盤側のお椀状に凹んだ部分(寛骨臼)に、大腿骨の頭のような部分が合わさってい
るところを股関節と呼びます。


身体の表面から指差すと、

「足の付け根」
「鼠径部の奥のほう」
「足の曲がり口」

表現の仕方が難しいですが、

膝のようにすぐ触ることはできず、
身体の中のほうにあります。


実際に股関節に痛みのある方は、
「ここっ!」と、「鼠径部の奥のほう」を指差されます。


一方で、股関節(鼠径部)ではなく、
お尻や太もも、膝のあたりに痛みを訴える方も多いです。


この絵を見ると、よく分かります。


股関節の痛み


変形性股関節症の方に、どこが痛いか描き示してもらった結果(参考文献②より引用)です。


股関節のある鼠径部だけでなく、
お尻や太ももの横の部分に痛みがあるという方が多くみられます。

太ももの前や膝のあたりも痛みがある方もおられますね。


参考文献②の結果では、109名の変形性股関節症の患者さんのうち、

77%の方がお尻の横のあたりが痛いと答え、

53%の方は鼠径部(足の付け根の部分)が痛い、

42%の方は太ももの前や横の部分が痛い、

38%の方は後ろ側のお尻の部分が痛い、

と答えており、痛みの場所が一か所ではないことが分かります。


このアンケートは複数回答可で行われており、
一人の方があちこち痛ければ、何か所も痛い場所を記入されていることになります。


この結果を見ると、

実際に「股関節が痛い」と答えている人は、

おそらく「鼠径部」に色を塗られていると思いますので、約半数の人たちということになると思います。

全員ではないのです。


股関節(鼠径部)には痛みはなくて、お尻の部分に痛みを感じておられる方もあると思われます。


クリニックで多くの患者さんのリハビリを担当させていただいても、
同じような印象があります。


この痛みの出ている場所によって、治療方法は全然異なってきます。


痛みの場所の伝え方も注意しないといけませんね。


「股関節」と思っていた場所が、お尻の筋肉であったりすることもあり、

実際に、指をさして医療者側に示すようにしていただいたほうが正確に伝わると思います。


また、我々医療者側も患者さんの痛みの場所や種類、程度を細かく聞き、
その痛みの原因について詳しく調べるようにしています。


股関節が痛いのか?

股関節ではないところが痛いのか?


痛みは他人には完全に把握することはできません。

患者さんご本人が答えるしかありません。



痛みの治療のためには、

痛みの場所を正確に伝えることが大切であると考えます。



<参考文献>

① Juhakoski R. Factors affecting self-reported pain and physical function in patients with hip osteoarthritis. Arch Phys Med Rehabil. 2008 Jun;89(6):1066-73.

② Poulsen E. Pain distribution in primary care patients with hip osteoarthritis. Fam Pract. 2016 Dec;33(6):601-606.

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有森裕子さんの講演会


今回は講演会のご案内をひとつ。

2017年6月23日(金)と24日(土)に第56回日本小児股関節研究会が大阪で開かれます。

詳細はこちら(http://jphs2017.jp/


テーマは「原点回帰、そして未来へ~小児股関節疾患の予防・早期診断・最新治療~」です。


股関節脱臼や股関節形成不全は早期に発見し、早期に治療すれば改善も期待できます。

小児股関節医療の最前線が学べるということで、私たちも参加する予定にしています。



その研究会の中で、元マラソンランナーの有森裕子さんによる講演会があります。

日時:2017年6月24日(土) 14時~15時 

場所:大阪市中央公会堂

申し込み不要
入場料無料

講演会の詳細はこちら(http://jphs2017.jp/kouenkai/


皆さんご存知のマラソンメダリストである有森裕子さんですが、

なんと赤ちゃんのときに股関節脱臼の経験がおありだったとのこと。


驚きです。

颯爽と走っておられる姿からは想像もつきませんでした。

生後2か月のときに左右とも股関節脱臼していることに気づかれ、
すぐにリーメンビューゲルというバンドを装着することで治ったとのこと。

早くに発見され、早くに適切な対処をされたことにより治療に成功したのだと思います。


赤ちゃんのときに股関節が脱臼していたのに、あれだけ走れるようになるなんて夢が広がるお話ですね。

講演は、医療者だけでなく一般の方も参加できます。

興味のある方はご参加ください。



昔に比べれば、乳児期の股関節脱臼は減っているようです。

しかし、股関節脱臼への注意も減ってしまっており、
生後1年以上経ち、歩き始めるようになってから股関節の異常に気付くケースが増えていると聞きます。

1歳を超えてから股関節脱臼を治療することは難しくなります。


早期発見、早期治療が大切だと言うことが、有森さんの姿からよく分かりますね。


生後3か月頃に「乳幼児健診」が各市区町村であります。

医師による健診にて股関節脱臼の有無についても確認されます。

しっかりと確認してもらいましょう。


また、昨年から母子手帳の副読本の中にも股関節脱臼の予防に関する記事が掲載されるようになりました。

昨年以降にご出産された方は確認してみてください。

オムツの当て方や抱っこの仕方にも気をつけなければなりません。


股関節脱臼があると股関節の形成不全にもなりやすいです。

まずは、股関節の脱臼を予防する。

また、股関節の形成不全を予防することで、将来的に変形性股関節症が進行する危険性を少しでも減らすことができると考えます。


股関節の痛みで悩む方をお一人でも減らすことができるように、

ご家族やご友人にも気をつけてあげてください。

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やせます!筋肉が・・・


やせます!筋肉が…



「脚がやせる」
と聞くとちょっと嬉しい響きに聞こえるかもしれませんが、
今回は脂肪ではなく筋肉がやせるという話です。


股関節のみならずどこか身体を傷めてしまうと、
その部分をうまく使うことができなかったり、かばったりして傷めた部分の周りの筋肉はやせてしまうことが多いです。

骨折などでギプス固定をされたことのある人はよくお分かりでしょう。
骨が治ってギプスを外した時に筋肉がやせてしまっていたと思います。


ペットの骨折




股関節に痛みのある人の場合は、
股関節を動かしたり体重がかかったりすると痛みが出るため、
知らず知らずのうちに、それをかばうようにして過ごしている場合が多いです。

立ったり座ったりの動作、立って家事や仕事をする時、
歩く時など日常生活でいつも少しずつかばうことにより、痛みのあるほうの筋肉を使う量が減ります。

それが長期間何年も続くと、徐々に股関節の周りの筋肉が弱ってやせていくというわけです。


股関節の周りの筋肉というのは、主に上半身を支える時に働くおしりの筋肉や脚を持ち上げる時に働くつけ根の筋肉などがあります。


股関節MRI





健康診断などでおなじみのCT検査(コンピュータ断層撮影)を用いて、
変形性股関節症と診断された人の脚の筋肉について調べた研究によると、

股関節症の脚は反対側の脚や健常な人の脚と比べ、
おしりや脚のつけ根の筋肉がやせて細くなっていることが報告されています。


これは病状が進行するほどに顕著であり、
やせた筋肉組織の間に脂肪が入り込んできてしまい、
筋肉としての機能がなされなくなっている部分も多いことが確かめられました。


筋肉だと思っていたら脂肪だなんてなんとも嫌な話ですが、長期間にわたり筋肉が働けない状況が続くとそういう結果になってしまうのです。


CT画像




また、体重を支える役目のある太ももやふくらはぎの筋肉までやせておられる人も少なくありません。
これは高価な機械やメジャーでなくても自分でも確かめることができますので、ちょっとやってみましょう。


座ったままで結構ですので、左右それぞれの太ももを両手で優しくつかんで太さを比べてみてください。



手のひらでつつむ



左右の太さに違いがある人は、大体かばっている脚の方が細くなっているはずです。
目で見ただけでも違いがわかる人はよほどです。

また、ピタッとしたズボンをはいている人でしたら服のたるみ具合でも違いがわかります。
いかがでしょう?左右で大きな違いはありませんか?


おしりは脂肪も多く筋肉のやせ具合は触っただけでは少々わかりにくいかもしれませんが、
筋肉の厚みが小さくなるため、良い方と比べ膨らみ具合がペタンとした感じになります。
左右の違いが大きくなると椅子に座った時に座面が傾いていると感じる人もいたりします。



しかし、、、そもそもどうしてやせてはいけないのでしょうか?

みなさん「やせる」「太る」と言うとどうしてもプロポーション、
すなわちビジュアル的な良し悪しを連想しがちですが、
筋肉がやせるということは、その筋肉が発揮する力が弱っていることを表しています。

体を支えるのに必要な力が十分に出なくなっているということです。
支えられないというのは脚の機能としてはゆゆしき問題と言えますので、やはりやせない方がよいでしょう。

しかし、、、左右の太さが違っても反対の脚が元気であれば日常生活には支障をきたさないので問題ないのでは?

そう思う人もおられるかもしれません。
ある意味その通りで、現時点では問題ないと言えそうですね。
「現時点では」、です。

と言いますのも、現時点では大丈夫でも今後もそれが維持されるとは限らないからです。

痛みのコントロールができていれば、筋肉がやせていても反対で少し補うことで日常生活は問題なく送ることができるでしょう。
痛みが取れたらまた脚が使えるようになって太くなるでしょう。


本当にそうでしょうか?

毎日の生活の中で繰り返し片寄った(歪んだ)身体の使い方をすることで、そのパターンは確実に定着していきます。
すなわち、かばう側(元気な脚)とかばわれる側(傷めている脚)がよりはっきりするということです。
定着した動作パターンは、痛みが抑えられたからといってなかなか元に戻すことはできないものです。

手術を受けたとしても然りです。

そして、弱い脚をかばう身体の他の部分には常に過剰なストレスが加わってしまうため、
結果的に後々別の部分の障害を引き起こしてしまうことにもなりかねません。

実はまさにこれこそがやせてはいけない本当の理由なのだと思います。


私たち理学療法士が患者さんの身体の状態を評価する際は、漠然と太いとか細いとかを確かめているわけではありません。

どの筋肉がやせているのか、
逆にかばう側の筋肉が緊張したり膨隆したりしていないかなど左右の違いを確かめ、
全身の姿勢や歩行などと照らし合わせることで、
普段の生活の中でその人がどのような身体の使い方をしているかを確かめています。

そして、もちろんその片寄った使い方を修正するとともに、それが続くとどうなるか(予後と言います)を予測して対応策を考えていきます。

単に細いからダメとか、太ければオッケーという一時の話ではありません。

しかし何事もまずは現状を把握しておくことが大切ですから、まずは自分の身体がどうなっているのかお確かめの上、手遅れにならないよう早めに策を講じていきましょう。


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変形性股関節症と腰の関係


変形性股関節症と腰の関係


以前、こちらのブログで「変形性股関節症と膝」、「変形性股関節症と足」の関係性についてご紹介させていただきました。

今回は、「腰」についてです。


変形性股関節症と「腰」とはどのような関係があるのでしょうか?


はてな


まず皆さん、「腰」とはどこか分かりますか?


少し失礼な質問かもしれませんが、
意外と「腰」という場所がどこかイメージしている場所が異なる場合が多いです。

「背中全体」を指して腰という方や、お尻のあたりまで腰だと仰る方もあります。


「腰に手を当てて」と言われると、普通たいていの人は骨盤の上の部分に手を当てます。

しかし、「骨盤」は解剖学上は、腰の骨ではありません。
腰=骨盤と思われている方もあると思いますのでご注意ください。


下の絵をご覧ください。


骨模型


少し恐い絵ですが、人間の骨格を表しています。

人の背骨は頸椎・胸椎・腰椎と合わせて24個の骨があります。

医療の世界では、いわゆる「腰」と言われる部分は、この腰椎のあたりのことを指します。
腰椎は骨盤の上に積み重なっており、5個あります。


この「腰」というもののイメージの違いが話を食い違わせ、説明に困る場合があります。

覚えておいてくださいね。
宜しくお願いします。



股関節とは、骨盤と大腿骨の間の関節です。

つまり、腰と骨盤と股関節は隣どうしで繋がっています。

このため、股関節に不具合が生じると、お隣の腰にも影響が及ぶことが多いです。



変形性股関節症と「腰痛」の関係について調査した研究があります。

その研究では、50名の変形性股関節症の人に、腰痛があるかどうかを調べています。
40歳以上、65歳以上、75歳以上の3つの年代に分けて調査した結果、

「どの年代においても約60%の人に腰痛がある」

ということがわかりました。


日本整形外科学会による腰痛の全国調査では、40歳以上の女性の約40%に腰痛の経験があると報告されています。
つまり、変形性股関節症の人は腰痛になりやすいということが言えます。


この腰痛の原因の1つに変形性股関節症の方の特徴的な姿勢の影響が考えられます。


変形性股関節症と腰との関係




上の図は、立っている姿勢を横から見た図です。


変形性股関節症の方は左側の絵のように、骨盤が前に傾き腰が反っている姿勢の人が多いです。

これが腰痛の原因です。


特に、もともと臼蓋形成不全(骨盤側のかぶりが浅い)をお持ちの方は、幼少期からこの姿勢になっている方もおられます。

また、変形性股関節症が悪化し、股関節が伸びにくい場合や痛みをかばう場合でもこの姿勢になる方が多いです。


常に腰を反らせて立っている、歩いているため、
腰にかかる負担が大きくなり、腰痛が生じてしまいます。

ここで1つ注意していただきたいことがあります。

主に、腰痛とは腰の筋肉の痛みです。
肩こりと同じで、使い過ぎによる筋疲労による痛みがほとんどです。


実際に、腰の骨(腰椎)自体が悪くなっておられる方も中にはありますが、
この場合、坐骨神経痛という臀部から膝下、足先にしびれや痛みが出ます。

腰痛だけで足にしびれや痛みがない場合は、主に腰の筋肉の問題です。


変形性股関節症を長く患うほど、このような悪い姿勢を続けていることになりますから、
腰にも負担がかかり続け、悪い箇所をもう1つ増やしてしまうことになります。

ご注意ください。



では、少し視点を変えて、
上の図の右側の人のような姿勢の場合はどうでしょうか?

このような姿勢の方を見受けたことがあるでしょうか?


そう、高齢者の方によく見る姿勢です。
先ほどと反対に、骨盤が後ろへ傾き、腰は丸くなります。

もともと股関節が悪いわけではありません。
臼蓋形成不全のような股関節の成長不全もありません。

しかし、歳を重ねるとともに、不本意ながら腰が丸くなり、
骨盤が後ろへ傾くことで、
姿勢の変化により股関節のかぶりが浅い状態が作られてしまっています。

詳しく模式化したものが上の図の右側になります。


こうなると、大腿骨の頭の部分にかかる体重が局所的に集中してしまい負担が大きくなり、
骨が弱い場合、軟骨が減り、、
変形性股関節症を引き起こしてしまうことがあります。


股関節の問題が腰に影響を与えるのと反対に、
腰の問題が股関節に影響を与えることになります。

これはHip-Spine syndrome(ヒップスパインシンドローム)と言って、
1980年代の始めにOffierski先生らによって、
股関節と腰の障がいは相互に影響し合っていることを報告されています。


「私も腰が痛い」
「姿勢が悪くなってきているのが気になる」
という声をよく聞きます。

増原クリニックは、股関節専門のクリニックではありますが、
リハビリにおいては股関節だけを治療するわけではありません。

今回のお話のように、
股関節を始まりとして他の関節などに影響が出ている場合や
身体全体の姿勢の問題が股関節に影響を与えている場合もあり、
身体の隅々までチェックしてリハビリを行います。

股関節だけが良くなっても、他の関節が良くならなければ生活は変わりません。

お一人おひとりの状態に合わせてリハビリを行いますので、
股関節だけでなく他の部分にも気になる箇所がある場合は遠慮せずご相談下さい。


参考文献
1)Offierski,C.M.et al:Hip-spine syndrome.Spine,8:316-321,1983
2)森本 忠嗣 他: Hip-spine syndrome-人工股関節置換術施行例における腰痛の検討-: 整形外科と災害外科 Vol 52:(2), 356-360, 2003.


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