股関節専門 増原クリニック ブログ

本当に股関節が痛い?


股関節が痛い


「股関節が痛いんです。」
と、多くの方が来院されます。

もちろん股関節専門クリニックなので、
股関節に問題を抱えておられる方が多いのは当たり前です。


よくよくお話を聞きます。

「股関節が痛い」と、仰る方の中に、
よくよくお話を聞いているとお尻の部分を指して股関節が痛いと仰る方がおられます。

ネットや雑誌などで調べられ、
または他院で指摘され、
「私は股関節が悪いから股関節が痛い」と思い込んでおられますが、
実際に「痛い」と仰られている身体の部位は「股関節」ではなく「お尻」です。


確かにレントゲン写真を撮ると、
股関節に問題(変形)があることが分かります。

しかし、股関節に変形があっても、
現在の痛みの原因が股関節の変形にあるとは限りません。

実際に、股関節が大きく変形していても股関節に痛みがほとんどない方もおられます。


「変形性股関節症の変形の程度と痛みの程度は比例しない」と、

海外の研究論文(参考文献①)でも報告されています。


つまり、股関節が変形すればするほど股関節の痛みが強くなるとは限らないということです。


また、このような研究報告(参考文献②)もあります。

「変形性股関節症の方の痛い場所は股関節とは限らない」


股関節だけでなく、他の身体の部位の痛みを訴えておられる方が多勢おられます。


「そもそも股関節ってどこですか?」
ということにもなりますね。

股関節ってどこ?


股関節は骨盤と大腿骨の接合部分です。

骨盤側のお椀状に凹んだ部分(寛骨臼)に、大腿骨の頭のような部分が合わさってい
るところを股関節と呼びます。


身体の表面から指差すと、

「足の付け根」
「鼠径部の奥のほう」
「足の曲がり口」

表現の仕方が難しいですが、

膝のようにすぐ触ることはできず、
身体の中のほうにあります。


実際に股関節に痛みのある方は、
「ここっ!」と、「鼠径部の奥のほう」を指差されます。


一方で、股関節(鼠径部)ではなく、
お尻や太もも、膝のあたりに痛みを訴える方も多いです。


この絵を見ると、よく分かります。


股関節の痛み


変形性股関節症の方に、どこが痛いか描き示してもらった結果(参考文献②より引用)です。


股関節のある鼠径部だけでなく、
お尻や太ももの横の部分に痛みがあるという方が多くみられます。

太ももの前や膝のあたりも痛みがある方もおられますね。


参考文献②の結果では、109名の変形性股関節症の患者さんのうち、

77%の方がお尻の横のあたりが痛いと答え、

53%の方は鼠径部(足の付け根の部分)が痛い、

42%の方は太ももの前や横の部分が痛い、

38%の方は後ろ側のお尻の部分が痛い、

と答えており、痛みの場所が一か所ではないことが分かります。


このアンケートは複数回答可で行われており、
一人の方があちこち痛ければ、何か所も痛い場所を記入されていることになります。


この結果を見ると、

実際に「股関節が痛い」と答えている人は、

おそらく「鼠径部」に色を塗られていると思いますので、約半数の人たちということになると思います。

全員ではないのです。


股関節(鼠径部)には痛みはなくて、お尻の部分に痛みを感じておられる方もあると思われます。


クリニックで多くの患者さんのリハビリを担当させていただいても、
同じような印象があります。


この痛みの出ている場所によって、治療方法は全然異なってきます。


痛みの場所の伝え方も注意しないといけませんね。


「股関節」と思っていた場所が、お尻の筋肉であったりすることもあり、

実際に、指をさして医療者側に示すようにしていただいたほうが正確に伝わると思います。


また、我々医療者側も患者さんの痛みの場所や種類、程度を細かく聞き、
その痛みの原因について詳しく調べるようにしています。


股関節が痛いのか?

股関節ではないところが痛いのか?


痛みは他人には完全に把握することはできません。

患者さんご本人が答えるしかありません。



痛みの治療のためには、

痛みの場所を正確に伝えることが大切であると考えます。



<参考文献>

① Juhakoski R. Factors affecting self-reported pain and physical function in patients with hip osteoarthritis. Arch Phys Med Rehabil. 2008 Jun;89(6):1066-73.

② Poulsen E. Pain distribution in primary care patients with hip osteoarthritis. Fam Pract. 2016 Dec;33(6):601-606.

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有森裕子さんの講演会


今回は講演会のご案内をひとつ。

2017年6月23日(金)と24日(土)に第56回日本小児股関節研究会が大阪で開かれます。

詳細はこちら(http://jphs2017.jp/


テーマは「原点回帰、そして未来へ~小児股関節疾患の予防・早期診断・最新治療~」です。


股関節脱臼や股関節形成不全は早期に発見し、早期に治療すれば改善も期待できます。

小児股関節医療の最前線が学べるということで、私たちも参加する予定にしています。



その研究会の中で、元マラソンランナーの有森裕子さんによる講演会があります。

日時:2017年6月24日(土) 14時~15時 

場所:大阪市中央公会堂

申し込み不要
入場料無料

講演会の詳細はこちら(http://jphs2017.jp/kouenkai/


皆さんご存知のマラソンメダリストである有森裕子さんですが、

なんと赤ちゃんのときに股関節脱臼の経験がおありだったとのこと。


驚きです。

颯爽と走っておられる姿からは想像もつきませんでした。

生後2か月のときに左右とも股関節脱臼していることに気づかれ、
すぐにリーメンビューゲルというバンドを装着することで治ったとのこと。

早くに発見され、早くに適切な対処をされたことにより治療に成功したのだと思います。


赤ちゃんのときに股関節が脱臼していたのに、あれだけ走れるようになるなんて夢が広がるお話ですね。

講演は、医療者だけでなく一般の方も参加できます。

興味のある方はご参加ください。



昔に比べれば、乳児期の股関節脱臼は減っているようです。

しかし、股関節脱臼への注意も減ってしまっており、
生後1年以上経ち、歩き始めるようになってから股関節の異常に気付くケースが増えていると聞きます。

1歳を超えてから股関節脱臼を治療することは難しくなります。


早期発見、早期治療が大切だと言うことが、有森さんの姿からよく分かりますね。


生後3か月頃に「乳幼児健診」が各市区町村であります。

医師による健診にて股関節脱臼の有無についても確認されます。

しっかりと確認してもらいましょう。


また、昨年から母子手帳の副読本の中にも股関節脱臼の予防に関する記事が掲載されるようになりました。

昨年以降にご出産された方は確認してみてください。

オムツの当て方や抱っこの仕方にも気をつけなければなりません。


股関節脱臼があると股関節の形成不全にもなりやすいです。

まずは、股関節の脱臼を予防する。

また、股関節の形成不全を予防することで、将来的に変形性股関節症が進行する危険性を少しでも減らすことができると考えます。


股関節の痛みで悩む方をお一人でも減らすことができるように、

ご家族やご友人にも気をつけてあげてください。

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やせます!筋肉が・・・


やせます!筋肉が…



「脚がやせる」
と聞くとちょっと嬉しい響きに聞こえるかもしれませんが、
今回は脂肪ではなく筋肉がやせるという話です。


股関節のみならずどこか身体を傷めてしまうと、
その部分をうまく使うことができなかったり、かばったりして傷めた部分の周りの筋肉はやせてしまうことが多いです。

骨折などでギプス固定をされたことのある人はよくお分かりでしょう。
骨が治ってギプスを外した時に筋肉がやせてしまっていたと思います。


ペットの骨折




股関節に痛みのある人の場合は、
股関節を動かしたり体重がかかったりすると痛みが出るため、
知らず知らずのうちに、それをかばうようにして過ごしている場合が多いです。

立ったり座ったりの動作、立って家事や仕事をする時、
歩く時など日常生活でいつも少しずつかばうことにより、痛みのあるほうの筋肉を使う量が減ります。

それが長期間何年も続くと、徐々に股関節の周りの筋肉が弱ってやせていくというわけです。


股関節の周りの筋肉というのは、主に上半身を支える時に働くおしりの筋肉や脚を持ち上げる時に働くつけ根の筋肉などがあります。


股関節MRI





健康診断などでおなじみのCT検査(コンピュータ断層撮影)を用いて、
変形性股関節症と診断された人の脚の筋肉について調べた研究によると、

股関節症の脚は反対側の脚や健常な人の脚と比べ、
おしりや脚のつけ根の筋肉がやせて細くなっていることが報告されています。


これは病状が進行するほどに顕著であり、
やせた筋肉組織の間に脂肪が入り込んできてしまい、
筋肉としての機能がなされなくなっている部分も多いことが確かめられました。


筋肉だと思っていたら脂肪だなんてなんとも嫌な話ですが、長期間にわたり筋肉が働けない状況が続くとそういう結果になってしまうのです。


CT画像




また、体重を支える役目のある太ももやふくらはぎの筋肉までやせておられる人も少なくありません。
これは高価な機械やメジャーでなくても自分でも確かめることができますので、ちょっとやってみましょう。


座ったままで結構ですので、左右それぞれの太ももを両手で優しくつかんで太さを比べてみてください。



手のひらでつつむ



左右の太さに違いがある人は、大体かばっている脚の方が細くなっているはずです。
目で見ただけでも違いがわかる人はよほどです。

また、ピタッとしたズボンをはいている人でしたら服のたるみ具合でも違いがわかります。
いかがでしょう?左右で大きな違いはありませんか?


おしりは脂肪も多く筋肉のやせ具合は触っただけでは少々わかりにくいかもしれませんが、
筋肉の厚みが小さくなるため、良い方と比べ膨らみ具合がペタンとした感じになります。
左右の違いが大きくなると椅子に座った時に座面が傾いていると感じる人もいたりします。



しかし、、、そもそもどうしてやせてはいけないのでしょうか?

みなさん「やせる」「太る」と言うとどうしてもプロポーション、
すなわちビジュアル的な良し悪しを連想しがちですが、
筋肉がやせるということは、その筋肉が発揮する力が弱っていることを表しています。

体を支えるのに必要な力が十分に出なくなっているということです。
支えられないというのは脚の機能としてはゆゆしき問題と言えますので、やはりやせない方がよいでしょう。

しかし、、、左右の太さが違っても反対の脚が元気であれば日常生活には支障をきたさないので問題ないのでは?

そう思う人もおられるかもしれません。
ある意味その通りで、現時点では問題ないと言えそうですね。
「現時点では」、です。

と言いますのも、現時点では大丈夫でも今後もそれが維持されるとは限らないからです。

痛みのコントロールができていれば、筋肉がやせていても反対で少し補うことで日常生活は問題なく送ることができるでしょう。
痛みが取れたらまた脚が使えるようになって太くなるでしょう。


本当にそうでしょうか?

毎日の生活の中で繰り返し片寄った(歪んだ)身体の使い方をすることで、そのパターンは確実に定着していきます。
すなわち、かばう側(元気な脚)とかばわれる側(傷めている脚)がよりはっきりするということです。
定着した動作パターンは、痛みが抑えられたからといってなかなか元に戻すことはできないものです。

手術を受けたとしても然りです。

そして、弱い脚をかばう身体の他の部分には常に過剰なストレスが加わってしまうため、
結果的に後々別の部分の障害を引き起こしてしまうことにもなりかねません。

実はまさにこれこそがやせてはいけない本当の理由なのだと思います。


私たち理学療法士が患者さんの身体の状態を評価する際は、漠然と太いとか細いとかを確かめているわけではありません。

どの筋肉がやせているのか、
逆にかばう側の筋肉が緊張したり膨隆したりしていないかなど左右の違いを確かめ、
全身の姿勢や歩行などと照らし合わせることで、
普段の生活の中でその人がどのような身体の使い方をしているかを確かめています。

そして、もちろんその片寄った使い方を修正するとともに、それが続くとどうなるか(予後と言います)を予測して対応策を考えていきます。

単に細いからダメとか、太ければオッケーという一時の話ではありません。

しかし何事もまずは現状を把握しておくことが大切ですから、まずは自分の身体がどうなっているのかお確かめの上、手遅れにならないよう早めに策を講じていきましょう。


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変形性股関節症と腰の関係


変形性股関節症と腰の関係


以前、こちらのブログで「変形性股関節症と膝」、「変形性股関節症と足」の関係性についてご紹介させていただきました。

今回は、「腰」についてです。


変形性股関節症と「腰」とはどのような関係があるのでしょうか?


はてな


まず皆さん、「腰」とはどこか分かりますか?


少し失礼な質問かもしれませんが、
意外と「腰」という場所がどこかイメージしている場所が異なる場合が多いです。

「背中全体」を指して腰という方や、お尻のあたりまで腰だと仰る方もあります。


「腰に手を当てて」と言われると、普通たいていの人は骨盤の上の部分に手を当てます。

しかし、「骨盤」は解剖学上は、腰の骨ではありません。
腰=骨盤と思われている方もあると思いますのでご注意ください。


下の絵をご覧ください。


骨模型


少し恐い絵ですが、人間の骨格を表しています。

人の背骨は頸椎・胸椎・腰椎と合わせて24個の骨があります。

医療の世界では、いわゆる「腰」と言われる部分は、この腰椎のあたりのことを指します。
腰椎は骨盤の上に積み重なっており、5個あります。


この「腰」というもののイメージの違いが話を食い違わせ、説明に困る場合があります。

覚えておいてくださいね。
宜しくお願いします。



股関節とは、骨盤と大腿骨の間の関節です。

つまり、腰と骨盤と股関節は隣どうしで繋がっています。

このため、股関節に不具合が生じると、お隣の腰にも影響が及ぶことが多いです。



変形性股関節症と「腰痛」の関係について調査した研究があります。

その研究では、50名の変形性股関節症の人に、腰痛があるかどうかを調べています。
40歳以上、65歳以上、75歳以上の3つの年代に分けて調査した結果、

「どの年代においても約60%の人に腰痛がある」

ということがわかりました。


日本整形外科学会による腰痛の全国調査では、40歳以上の女性の約40%に腰痛の経験があると報告されています。
つまり、変形性股関節症の人は腰痛になりやすいということが言えます。


この腰痛の原因の1つに変形性股関節症の方の特徴的な姿勢の影響が考えられます。


変形性股関節症と腰との関係




上の図は、立っている姿勢を横から見た図です。


変形性股関節症の方は左側の絵のように、骨盤が前に傾き腰が反っている姿勢の人が多いです。

これが腰痛の原因です。


特に、もともと臼蓋形成不全(骨盤側のかぶりが浅い)をお持ちの方は、幼少期からこの姿勢になっている方もおられます。

また、変形性股関節症が悪化し、股関節が伸びにくい場合や痛みをかばう場合でもこの姿勢になる方が多いです。


常に腰を反らせて立っている、歩いているため、
腰にかかる負担が大きくなり、腰痛が生じてしまいます。

ここで1つ注意していただきたいことがあります。

主に、腰痛とは腰の筋肉の痛みです。
肩こりと同じで、使い過ぎによる筋疲労による痛みがほとんどです。


実際に、腰の骨(腰椎)自体が悪くなっておられる方も中にはありますが、
この場合、坐骨神経痛という臀部から膝下、足先にしびれや痛みが出ます。

腰痛だけで足にしびれや痛みがない場合は、主に腰の筋肉の問題です。


変形性股関節症を長く患うほど、このような悪い姿勢を続けていることになりますから、
腰にも負担がかかり続け、悪い箇所をもう1つ増やしてしまうことになります。

ご注意ください。



では、少し視点を変えて、
上の図の右側の人のような姿勢の場合はどうでしょうか?

このような姿勢の方を見受けたことがあるでしょうか?


そう、高齢者の方によく見る姿勢です。
先ほどと反対に、骨盤が後ろへ傾き、腰は丸くなります。

もともと股関節が悪いわけではありません。
臼蓋形成不全のような股関節の成長不全もありません。

しかし、歳を重ねるとともに、不本意ながら腰が丸くなり、
骨盤が後ろへ傾くことで、
姿勢の変化により股関節のかぶりが浅い状態が作られてしまっています。

詳しく模式化したものが上の図の右側になります。


こうなると、大腿骨の頭の部分にかかる体重が局所的に集中してしまい負担が大きくなり、
骨が弱い場合、軟骨が減り、、
変形性股関節症を引き起こしてしまうことがあります。


股関節の問題が腰に影響を与えるのと反対に、
腰の問題が股関節に影響を与えることになります。

これはHip-Spine syndrome(ヒップスパインシンドローム)と言って、
1980年代の始めにOffierski先生らによって、
股関節と腰の障がいは相互に影響し合っていることを報告されています。


「私も腰が痛い」
「姿勢が悪くなってきているのが気になる」
という声をよく聞きます。

増原クリニックは、股関節専門のクリニックではありますが、
リハビリにおいては股関節だけを治療するわけではありません。

今回のお話のように、
股関節を始まりとして他の関節などに影響が出ている場合や
身体全体の姿勢の問題が股関節に影響を与えている場合もあり、
身体の隅々までチェックしてリハビリを行います。

股関節だけが良くなっても、他の関節が良くならなければ生活は変わりません。

お一人おひとりの状態に合わせてリハビリを行いますので、
股関節だけでなく他の部分にも気になる箇所がある場合は遠慮せずご相談下さい。


参考文献
1)Offierski,C.M.et al:Hip-spine syndrome.Spine,8:316-321,1983
2)森本 忠嗣 他: Hip-spine syndrome-人工股関節置換術施行例における腰痛の検討-: 整形外科と災害外科 Vol 52:(2), 356-360, 2003.


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左右の脚の長さの違いによる影響


人工股関節手術後の足の長さの違い

人間は基本的に左右の脚の長さはほとんど同じです。

骨盤のゆがみなどにより、左右の脚の長さが違っていることを指摘されることがあるかもしれませんが、

身体に問題がない場合、通常は左右の脚の長さは同じです。


しかし、変形性股関節症のように股関節が変形してしまうと、左右の脚の長さに違いが生じます。

股関節の変形は急激に進むわけではないので、

自分の脚の長さに左右差が生じてきていることを始めは気づかれない方が多いです。

また、実際に脚の長さの左右差が生じていても

腰をゆがめたり、反対の膝を曲げたり、つま先立ちをしたり、

その脚の長さの違いを埋めるかのように、知らず知らずのうちに姿勢を変えておられる方も少なくはありません。

「ズボンの丈が合わない」となって初めて気づかれる方もあります。

この脚の長さの違い=脚長差(きゃくちょうさ)は、股関節の変形の進行とともに大きくなります。

股関節症が末期の状態にまで進行してしまった方では、その脚長差が1㎝や2㎝、または3㎝以上ある方もおられます。



変形性股関節症の脚長差



どのくらいの脚長差があれば、歩くときの筋肉の働きに影響が出てくるか?


靴底に高さを足して実験的に脚長差を作り出して検討してみた研究です。


その結果、
統計学的には靴底を3㎝以上厚くすると前脛骨筋と呼ばれるすねの部分の筋肉が通常より過剰に働き、
4㎝厚くすると腓腹筋と呼ばれるふくらはぎの筋肉が、通常よりも過剰に働くことを報告されています。



変形性股関節症の脚長差による影響


右横の数値は厚底靴により作り出した脚長差の長さです。

脚長差が大きくなるにつれ足首周りの筋肉が大きく働いていることが分かります。


「ふくらはぎが疲れやすい」という方はおられませんか?

足の長さの左右差を埋め合わせるために、背伸びするようにして歩いていることが原因である可能性があります。



統計学的には3cm、4cmという脚長差で筋肉が過剰に働くということになりますが、

脚長差が1cmでもあれば、通常と異なった歩き方をしています。

その正常ではない歩き方をずっと続けていると、身体への様々な弊害が出てきます。



<参考文献>
1古木名 寿登: 片側性変形性股関節症患者の脚長差についての一考察
 理学療法科学 12(2) 1997,91-94

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