FC2ブログ

股関節専門 増原クリニック ブログ

人気のヨガの落とし穴


ヨガ


近年、ますます人気を集めるヨガ。
老若男女に親しまれていますね。

専門的に取り組まれたり、
スポーツクラブでレッスンを受けられたり、
地域のイベントに参加されたりと
ヨガをご経験の方は多いのではないでしょうか。

さて、今回はそんな人気のヨガの
思わぬ落とし穴についての話題です。


ヨガの歴史は非常に長く、
世界中に愛好者が拡がっています。

その効能は様々な側面において
医学的にも認知されてきました。

運動不足の方に!
ダイエットにおすすめ!
姿勢美人に!
など、なんとも興味深いキーワードに引き寄せられて
気軽に始められる機会も多いかもしれません。

しかしながら、
ヨガ人口が爆発的に増えた反面、
トラブルの報告も増えているというわけです。


アメリカの報告ですが、
ヨガによるケガの発生を調査したところ
救急外来を受診するような重度のケガをされた方が
2014年は10万人に17人、
年々増加傾向にあるようです。

ケガの多くは首や腰、
続いて股関節、膝関節、足首、
そして頭部となっています。

特に65歳以上では
ケガの発生率が高くなっています。

これはあくまでも
かなり重症なケガをされた方々の調査ですので、
実際、軽症なケガも含めると
かなりの数になりそうです。


先日、メディアで取り上げられたニュースによると
ヨガ教室で起きた体のトラブルについて
国民生活センターへの相談件数が
年々増えているそうです。

クリニックにも
“ヨガで股関節が痛くなった”と
受診される患者様がいらっしゃいます。

私、体がかたいので…頑張ろうと思って…
せっかくやる気になったのに
痛くなっては、落ち込みますよね。


ヨガにも様々なバリエーションがありますが
中には日常生活では動かさないような範囲で
関節を大きく動かす場合があります。

股関節も例外ではありません。
もともと股関節は
他の関節に比べて
動く範囲が広い関節ですから、
ポーズによっては
股関節の動きが重視されることがあります。

普段動かしていない部分ですから、
簡単には曲がったり、広がったりしないわけです。

そこでついつい、やり過ぎてしまうのです。

体がかたいから、痛いのが当たり前だと思っていました…
と相談される患者様もいらっしゃいます。

確かに、隣を見れば
自分よりすごいポーズをする人が!
と焦る気持ちもあるでしょう。


そもそも、関節を最大限に動かした時、
どこが、どんなふうに
これ以上は動かないぞ!と感じるでしょうか。

関節の周りには
筋肉だけではなく、
皮膚や靭帯、
骨のすぐ近くにある組織などが存在します。

関節を大きく動かしたときに、
一体どれがブレーキをかけているのか?
これが大切なことなのです。

多くの場合は筋肉であるので、
その筋肉の柔軟性が上がれば
関節の動きはさらに広がります。

ヨガだけでなく、一般的なストレッチも
この筋肉の柔軟性を上手に良くしていくことが
ポイントです。

しかしながら、
筋肉や靭帯、骨のすぐ近くにある組織などに
無理な力が加わった場合、
それは柔軟性を上げるどころか
組織の損傷、つまりケガになるのです。

適正に筋肉が伸ばされているのかを判別するには
骨格や筋肉の位置関係を示す解剖学の情報が必要です。
そのような情報を十分に提供して下さる指導者のもとで
取り組まれることをおすすめします。


ヨガ




2018年にまとめられた論文では
ヨガによるケガの報告はいろいろとあるけれども、
決して“ヨガが悪い“ということではなく
むしろ、適切な指導者のもとで取り組めば
健康にとても効果的だと締めくくっています。

他のスポーツと比べて
ヨガによるケガの発生率が高いという報告ではありませんので
過剰に反応する必要はありませんが、

痛みを我慢しながら続けることは
美談ではないことも忘れないでください。




■参考文献
1)Injuries and other adverse events associated with yoga practice: A systematic review of epidemiological studies. J Sci Med Sport. 2018 Feb;21(2):147-154
2)Yoga-Related Injuries in the United States From 2001 to 2014. Orthop J Sports Med. 2016 Nov 16;4(11)


スポンサーサイト

PageTop

「やってみよう!ノルディックウォーキング」


ノルディックウォーキング


2018年12月16日(日)

増原クリニックにて、ノルディック・ウォーキング体験会を開催しました。

当日は雨が心配されましたが、なんとか天候も大崩れせず予定通りに開催できました。


今回は、股関節教室にて参加者を募り、希望された38名の方々にご参加いただきました。


ノルディック・ウォーキングは専用の2本のポールを持ってウォーキングを楽しむスポーツで、
誰でも気軽に始めることができます。

また、ポールを持って歩くことで、意外と疲労感が出る全身の有酸素運動でもあります。
普通のウォーキングよりも腕を使うことで20%ほどエネルギー消費量が多いと言われています。

変形性股関節症の方や人工関節の手術を受けられた方々にも安心して実施していただけるスポーツでもあります。


今回は、まず始めにノルディック・ウォーキングについて、その方法と効果をご説明させていただきました。

ノルディックウォーキング体験会


そして、いざ出発!…の前に、ノルディック・ポールをご自分に合った長さに調整し、ポールを使用しながらの準備体操です。

経験者の方も何人かいらっしゃいましたが、初めての方が多かったですので、
まずポールを使ってクリニックの駐車場を歩いてみました。

初めてポールを持つので、同じほうの手と足が揃って出てしまう方もおられました。

また、私たち理学療法士が一人一人の歩く姿勢を確認しながらポールの長さを調節し、
歩く姿勢のアドバイスもさせていただきました。

ポールの持ち方


ウォ―キング練習が終わったあとは、いよいよ近くの大川沿いに出発です。

午後は小雨があり寒さもありましたが、気持ちの良いウォーキングになりました。

今回、一人一人のポールの長さや歩き方などを確認して、思いの外喜んでいただけたのが印象的でした。


ご参加された皆さんも、ノルディックのポールに慣れて、

「ポールを使うと歩きやすいです。」、「思っていたよりも良い運動になりますね。」、「今後も続けてみたいと思います。」、という声もお聞きすることができました。

ノルディック・ウォーキングに以前から興味を持たれている方はたくさんおられますが、

「試してみたいけど方法がわからない。」、「一人で始めるのはちょっと…。」、という方もおり、

今回の体験会により、今後もノルディック・ウォーキングを楽しんで続けていただければ嬉しく思います。


次回以降のノルディックウォーキング体験会の予定は、こちらのブログやホームページ他にてご案内させていただく予定です。

お楽しみに。

PageTop

運動は薬なり


目新しい話題…ではありませんが
このほど海外誌が
患者様向けに掲載した記事に
興味深いものがありましたので
ご紹介したいと思います。

整形外科領域やスポーツ領域のリハビリテーションを扱うアメリカの専門誌です。


“exercise is medicine. (運動は薬)”
という言葉をご存知でしょうか?

”運動” と ”薬”
相対する物事のように思われるかもしれせんが、 

関節症を患う方々にとって
運動療法は、
痛みを軽くしたり関節の動きを良くするのに
とても有効であることが証明されています。

それだけでなく、運動療法は
循環器の病気やⅡ型糖尿病、認知症など
様々な健康状態にも役立ちます。

股関節や膝関節の関節症にお悩みの方は、痛みにより生活が制限され、
「健康のために」必要な活動量や運動が、足りていない場合もあります。


図が示すように
関節症で活動量が減ると
慢性的な負のサイクルに陥る可能性があります。


運動は薬なり


運動療法と言っても、
難しい体操や特殊なスポーツに取り組む必要はありません。

例えば、ウォーキング・・・
例えばアクアビクス・・・
例えば筋力トレーニング・・・
と、どこかで聞いたモノばかりですよね。


ただし、コツがあるのです。

これから、運動療法の6つのポイントをご紹介します。

① 運動療法は、あなたのニーズや好みにあったあなたらしいものを

② 痛みが強くて運動しづらい場合は、水中での運動がおすすめ

③ 指導された運動療法を、まずは6週間続けてみましょう
   30~60分、週2回から始めましょう

④ さらに筋力アップを目指すなら、週3、4回、3ヵ月以上続けてみましょう

⑤ 自宅で行う運動は、あなたが良くなるために続けるべき

⑥ 痛みが再発することを予防する方法や、痛みが強くなった時の対処方法を知っておきましょう


そして、あなたに合った運動療法は、理学療法士に相談しましょう。

痛みがある状態で、運動をすることは注意が必要です。

良かれと思って行なった運動が、反対に痛みを悪化させることもあります。


股関節の痛みの程度や、痛みの原因により
その人に合った「運動」は異なります。

また、時の経過により状態が変われば、最適な「運動」も変わってきます。


定期的に理学療法士に相談されることをお勧めします。


いかがでしたか?

”薬だと思って...” 
と、よく言いますが

運動も薬だと思って
好きでも嫌いでも
ご自分に合ったものを
きちんと続けましょう!

良薬は口に苦し⁉



■参考文献
Exercise is essential for osteoarthritis. The many benefits of physical activity. J Orthop Sports Phys Ther 2018;48(6):448.
Physical activity and exercise therapy benefit more than just symptoms and impairments in people with hip and knee osteoarthritis. J Orthop Sports Phys Ther 2018;48(6):439-447.

PageTop

背中の筋肉の柔軟性の改善方法


背中の筋肉の柔軟性?

あまり考えたことがないかもしれません。


でも、実際に「背中の筋肉の柔軟性と変形性股関節症の進行との関連性」が日本での研究報告により発表されています。


「からだが硬い」
と言いますが、よく行う「前屈」は主に太ももの裏側の筋肉の柔軟性のテストになります。


股関節のストレッチ



背中の筋肉とは?

背中には、下の図のようにたくさんの筋肉があり、
からだを前に曲げる、後ろに反らす、横に倒す、ひねるなど様々な動きを生み出すほかに、
姿勢を保つ(支える)役割があります。


背中の筋肉
図:背中の筋肉


参考までに、代表的な筋肉をいくつか挙げると、以下のようなものがあります。

① 広背筋(こうはいきん)
広背筋は、筋肉の部位で最も面積が広く、脇腹、脇の下あたりまである筋肉になります。
からだを横に倒す役割があります。

② 脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)
脊柱起立筋は、背中のもっとも長い筋肉で、背骨の両側についています。
からだを後ろに反らす、横に倒す役割があります。

③ 腹斜筋(ふくしゃきん)
お腹の横にある筋肉です。
からだを前に曲げる、横に倒す役割があります。

④ 腰方形筋(ようほうけいきん)
腰骨の両側にある筋肉です。後ろを広背筋、脊柱起立筋、腹斜筋におおわれています。
からだを横に倒す役割があります。


からだを曲げるといった動きの多くは、これらの筋肉が柔らかく伸び縮みすることで成り立っていますので、
当然筋肉が硬くなってしまうと、からだの動きにも支障をきたしてしまいます。

ですから、普段から簡単な体操(ストレッチ)により、筋肉の柔軟性を保っておくことが大切です。



では、まず自分の背中の筋肉がどれだけ硬いか?

チェックしてみましょう。


筋肉の硬さのチェック方法と、その硬さを治すためのストレッチの方法は同じです。

以下に示すストレッチの方法で、筋肉の硬さをチェックして、

左右差があったり、

「硬いな」、「伸びにくいな」、と感じる方は、

しっかりとストレッチをしていただければ良いかと思います。


しかし、人それぞれ筋肉の硬さは異なります。

また、くれぐれも痛みが出るくらいまで無理に動かさないように気をつけてください。

では、ストレッチ方法(硬さのチェック方法)を紹介していきます。


■お腹、背中の横を伸ばすストレッチです(主に腹斜筋)
上向きに寝た状態から両膝を立てます。
ゆっくり横に倒していきます。
横に倒したら力を抜きましょう。


回旋ストレッチ


■背中の後ろを伸ばすストレッチです(主に脊柱起立筋)
座った状態から猫背になるように、ゆっくり腰を丸めましょう。
元に戻す時には腰を反りすぎないように注意しましょう。

前後傾



■座って背中の横を伸ばすストレッチです(主に広背筋、腰方形筋)
伸ばしたい反対側へからだをゆっくり倒します。

側屈



■立って背中の横を伸ばすストレッチです(主に広背筋、腰方形筋)
伸ばしたい反対側へからだをゆっくり倒します。

立位側屈



ストレッチの時間の目安は、“1日概ね3分”です。

続けてではなくてよいので休憩しながら、ゆっくりおこなってください。

ストレッチの大切なところは、できるだけリラックスしてやることです。

痛いところまで無理してやる必要はありません。



いかがだったでしょうか?

左右の違いや、背中の筋肉の硬さなど感じられたでしょうか?


「硬いな」と感じる方は、ぜひストレッチをやってみてください。


これだけで変形性股関節症が予防できるというわけではありません。

背中の筋肉が硬いことも原因の1つとして考えられるということです。



PageTop

転ばぬ先のトレーニング


ヨガ


『実は先週、転びまして・・・、びっくりしました。』

外来診察に来られる患者様から
時折聞こえてくる、驚きの発言です。

誰だって、転びたくて転んだりはしないのですが
打撲や骨折など
ケガをされて落ち込まれる様子に
こちらも心を痛めることがあります。

転ばないようにするには
どうすればよいか?

決して単純な答えはないのですが
トレーニングの観点から
転倒の予防に効果があった!!という
研究報告をご紹介します。


2014年に発表された研究論文です。

転倒したことがある60歳以上の方々を集めて

①太極拳チーム
②バランストレーニングチーム
③ヨガチーム

の3チームに分けて
転倒予防に効果があったかを調査した研究です。

参加者の平均年齢は74歳。

週に2回、約60分間のトレーニングを
12週間(3ヶ月間)続けたところ、

どのチームの参加者も
バランスが改善したという結果です。
特にヨガチームで成績が良かったとも報告されました。

バランス能力の向上は転倒予防に効果的だと考えられています。


さて、皆さまはこの研究報告に
どのような感想をお持ちになったでしょうか?

やっぱりヨガが良いのか!

太極拳、どこでやってるの?

バランストレーニングってどんなの?
などなど・・・


しかし、着目すべきは
週2回、60分間の運動を3ヶ月続けた
ということではないでしょうか。

継続は力なり。


この研究で使用された
太極拳やヨガのプログラムの一部には
人工股関節の手術を受けられた患者様には
適切でないものも含まれます。

ヨガや太極拳をやっている
あるいは、やりたいと思っている患者様は診察の際に、おたずねください。
せっかくの運動習慣ですから
ぜひ安全に続けて頂きたいものです。

ご参考になればと、
この研究で実施されたバランストレーニングの中で
手ごろにできそうなものを紹介します。

ご自身でトレーニングされる際には
バランスを崩して転ばないように
つかまることができる物の近くで行うなど
くれぐれもご注意ください。

60分間もやらなくても
毎日コツコツ続けることができれば
転倒予防に役立つのではないでしょうか。


(1)立ち上がり動作

立ち座り


(2)かかと歩き

踵歩き


(3)バランス体操

バランス体操


クッションのような柔らかく不安定な物の上に乗ります。
写真のような腕のポーズで15秒間立ちます。
一旦、クッションから降ります。
これを10回繰り返します。


さらに、足の位置を変えて行うと良いみたいです。

左右の足をななめに

両足を閉じて

片脚立ちで

バランス体操の足位置


練習中に転倒すると元も子もないので、くれぐれもご注意ください。



■参考文献
Meng Ni, et al. Comparative impacts of Tai Chi, balance training, and a specially-designed yoga program on balance in older fallers. Arch Phys Med Rehabil. 2014

PageTop