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股関節専門 増原クリニック ブログ

坂道はつらいよ 。゚(゚´Д`゚)゚。


上り坂、つらくないですか?

変形性股関節症などで股関節に痛みや機能の低下があると、坂道を上がるのがつらく感じることがあります。

増原クリニックを受診される患者さんの中でも、そう訴える方は案外多く、
人によっては「階段よりも坂道の方がしんどい」とおっしゃる方もおられます。

「階段は脚に負担がかかりそう。」

「坂道の方がバリアフリーだから負担が軽そう。」
とお思いの方々。

あなどるなかれ。
たかが坂道、されど坂道。

居住環境により住宅の周りが坂ばかりという方も多くおられますので、
今回は坂道(上り坂)がなぜつらいのか、平地や階段とどう違うのかについて考えてみたいと思います。


上り坂は運動⁈

ずいぶんと前ですが、このブログでも階段の話をしました。

興味のある方はどうぞコチラ↓もご覧ください。
 階段の上がり降りとは:http://masuharacl.blog.fc2.com/blog-entry-168.html
 階段の上がり降りの方法:http://masuharacl.blog.fc2.com/blog-entry-169.html

上り坂は階段と同じく、今いる場所から上へと上がっていきます。
したがって、平地を歩くことに比べると、身体を持ち上げていく力が必要になり、
当然脚にも力が入りますし、ふうふう息が上がるように体力も使います。

そこは坂道でも階段でも共通しているところです。

ただ調べてみると、下の表に示すように上り坂を歩くことも結構な運動強度であることがわかります。


運動強度


いかがですか?

ちなみによく見かける車椅子用のスロープの最大勾配が約8%(1/12)ということですから、
1~5%というのは歩くのにはそれほど急な坂ではありません。

傾斜の程度(勾配)や歩く速さでも強度は変わりますが、階段を上るよりも高い運動になる可能性も十分あります。

したがって、脚や体力に問題がある方にとっては、つらい運動になることが容易に想像できます。



傾斜の影響

今度は坂道そのものについて考えてみます。

 “坂道は傾斜している”

実はこれがそもそもの問題です。

ウォーキング

階段


上の図をご覧ください。
平地でも階段でも足がつく部分は基本的に水平になっています。


坂道の負担

それに比べ坂道は足がつく部分が斜めになっています。

そうすると、足で地面をまっすぐ押す(踏ん張る)と、
地面からの反作用で進行方向とはやや反対向きに跳ね返される力(オレンジの矢印)が体にかかってきます。

ですから、坂道を上がる場合には身体を上に押し上げる力だけでなく、
後ろに落ちないよう前に行くための力が余分に必要ということになります。

これが、上り坂がつらくなる原因の一つです。



階段よりも坂道の方が長い

もう一つは、傾斜角度の問題です。

通常の階段と坂道を比べると、同じ高さまで上がるのに傾斜がずいぶんと違うことを経験します。
階段や歩道橋などのスロープなどがその良い例です。

坂道の場合、家の中の階段のように急な斜面では誰も上がれないため、傾斜角度はかなり緩やかに設定されています。

ということは、同じ高さまで上がる時でも、階段に比べ坂道は歩いている距離が増え、時間も余分にかかってしまいます。
もしかしたら、これも坂道がつらいと感じる一つの要因かもしれません。

例えば、ジワジワと長い坂を上がっていくよりも、階段があれば先に上がってしまい、
あとは平地を進むという方法も、つらさを軽減する上では有効な作戦ではないでしょうか。


研究


股関節にかかる負荷は高い⁈

過去の研究によると、階段では上りでも下りでも主に膝の負担が大きくなると報告されています。

そもそも歩行と階段とは身体の使い方が違うと言えるかもしれません。

一方、坂道の場合は、上りは股関節の負担が大きくなり、下りは膝の負担が大きくなるという結果が報告されています。

基本的に坂道の歩き方は、斜面がよっぽど急でない限り、見た目は平地を歩く時と似たような感じになります。

しかし、先ほど述べた坂道の特徴に対応するためには、
股関節の動きや周りの筋肉の働きがより必要となり、負担が大きくなるのだと思います。

また、傾斜に対応するのは足首の仕事でもあります。
足を出す際につま先が引っ掛からないように足首を起こし、
さらに滑らないように踏ん張りながら地面を押し身体を支えていますので、足首周りの筋肉も頑張る必要があります。

このように、見た目は普通に歩くように見えても脚全体が忙しく働いており、
それが持続的に繰り返されるため、印象よりもつらく感じるのかもしれません。


上り坂をどう攻略するか

上り坂は股関節に負担がかかるということがわかってきました。

では、どうしたらよいのでしょうか?

階段のように一歩ずつ揃えて歩くわけにはいきません。
自宅周辺が坂道の方は、避けては通れませんし…。

解決策としては、ありきたりではありますが、杖や手すりなどの補助具を使用することです。
ノルディックポールを山歩きのストックのように使うのも良いかもしれません。
脚の踏ん張りや前に進む力をサポートできれば楽になると思います。

杖をつくほどではないという方は、段の低い階段を上がる要領で、
あえて上半身をやや前傾させて少し重心(身体の中心)を前に持って行くよう意識すると良いかと思います。

少々足首の負担は増えるかもしれませんが、進みやすくなると考えられます。

上りは歩幅が大きくなりやすいため、歩幅は小さくと意識しておいた方が良いでしょう。

また、先ほども述べましたが、階段が楽であれば怖がらずにそちらを利用するのも一つの方法かもしれません。

なかなか良い対策を提案できませんが…(^_^;)
無理のない範囲で実践してみてください。


坂道がしんどいという方はご注意?!

上り坂を歩くのがつらい、しんどいという方。
ふうふう息切れするような場合は、脚の問題ではないかもしれませんが、
股関節が痛い、脚が重いと感じる方は股関節を傷めている可能性もあります。

環境はなかなか変えることができません。
今股関節が痛い方も、痛くない方も、ご自分の身体に無理がかかり過ぎていないか一度考えてみてはいかがでしょうか。


長文になり申し訳ございません。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。


参考文献
1) 国立健康・栄養研究所:改訂版『身体活動のメッツ(METs)表』, 2012
2)Brouwer et al. A Review of the Physical Demands of Stair Negotiation in Healthy Aging and Following Stroke. Phys Med Rehabil Int 2(7), 2015
3)AN Lay et al. The effects of sloped surfaces on locomotion: A kinematic and
kinetic analysis. J Biomech 39(9), 2006
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